「訊く」と「聴く」の使い分けが、
相手に共感をよぶ「効き方」となる。
「訊く」とはこちらの尋ねたいことを訊き、
「聴く」とは相手に共感する聴き方をすること。
1人で暴れている子供がいる。
この子供にどのように声をかけるか?
①「こんなところで暴れたら駄目だ!」と叱る。
②「よう暴れたな~」とその子を容認する。
③「どうして暴れたん?」と理由を訊く。
①の叱るは、こちらの都合で子供に話している。
②の容認は、子供の気持ちを聴いている。
③の訊くは、暴れた理由を訊いている。
自分の価値観の許容範囲を超えた行為があると、
「常識はずれだ!理解できない!困った奴だ!」と、
自分の都合を優先して、相手を批判する。
懐の深い人なら、相手に影響を及ぼす「効き方」をする。
裁判官のように正しさを追求するための訊き方でなく、
まず、相手の気持ちを聴き、理由を訊く。
相手の気持ちが治まったところで、正しいか否かを考えさせる。
こんな出来事があった。
2011年の8月13日、ある通信業者からの請求書が届いた。
「こんな契約したおぼえがない」とクレームをつけた。
そのときの電話を受けたO氏の対応がまずまずだった。
100点満点でなかったのは、電話を受けた直後のO氏は、
当初「私は状況をまったく知らない」という話し口調で、
顧客の気持ちを受け取ろうとしなかった。
そのO氏の言葉の裏にあるニュアンスは、
私共には関係ないという想いが伝わってきた。
事の経過や事実をまったく知らないO氏にとっては、
当然の応対で、間違ったことを言ったのではなかった。
だが、顧客の気持ちや心情を受け止める聴き方でなかった。
最初のO氏の対応を除き、その後事実を掴もうと、
「お客様、事実をお訊きしてもよろしいでしょうか」と、
うまく言葉丁寧に事実を引き出そうとしている。それからの対応が見事だった。
顧客が話したいことを察知すると、顧客の気持ちを優先して
受け止め、よく出た言葉が話す度に「ありがとうございます」だった。
顧客が話していることが正しいとか、間違っているとかの議論ではなく、
顧客の気持ちを聴いて「ありがとうございます」だった。これで感情は治まった。
相手の気持ちを聴き、静まったところで、事実関係を訊く。
相手の主張が整理できると、何に対してのクレームなのかがみえてくる。
大切なことは、相手にしゃべらすことにより
相手自身も適切な要求なのか、そうでないのかがみえてくる
上手く事が治まった。
「訊く」と「聴く」の使い分けで、相手に「効く」聞き方となる。