草刈正雄氏が演じる真田昌幸、いいね。いかにも天才策略家っぽくて。
また、三谷作品っぽさも個人的には良い感じ。出来事をこう羅列するのではなく、そのある一点にフォーカスするというか。
お蔭で『本能寺の変』は一瞬だったけれど、織田家武将、大名、真田家、それぞれの混乱ぶりが丁寧に描かれていると思う次第。先の読めない不確実性というリアリティというか。
というのは、それはもう大変な苦悩だったと思うのだよね。電話、ネットもない当時、何が起きているのか?誰がどう考え、動こうとしているのか?そういう本当の情報、事実が五里霧中にある中での意思決定とは。(実は信長は生きている、という選択オプションも想定していたと思うわけで)
視聴率的にも良い船出なようだけれど、今後もワクワクが続きそうだ。
さて、録画をしてあった『第六回 迷走』を観た。
冒頭、京都より信濃へと逃れるシーンから始まり、滝川対北条戦の前夜辺りまでだった。
そのラストシーンでは、昌幸より『今後の真田家のプロモーション発表』がされた。『これより真田、誰の下にも付かぬ』と。
更に、『ようやく分かった』から始まる自分たちの価値をこう羅列した。
信濃には、良き材木が取れる山々がある。それを運ぶ川もある。良い馬もいる。街道が通り、人が集まる。東と西を結ぶ要の土地。だから大名たちはこの信濃を欲しがる。と。
そして、この信濃がある限り、真田は大名たちと対等に渡り合える。と言い放ち、『もう大名たちの顔色を伺うのはご免じゃ』と締めくくられたのだった。
ようするに、真田のウリは人・物流ネットワークの要を押さえていることであり、皆の衆これで勝負するぞ!!というプロモであった。
プロモーションとは骨太方針
昌幸は『ようやく分かった』と言ったが、前置きがありそうだ。『ウチのパーツ的な価値を全部まとめ、熟慮してみたら』と。
というのは、価値とは点在するかのような場合が多いのだよね。企業でも、店舗でも、人でも、多面的というか。
ゆえに『ウチはこうだ!』という骨太の方針を打ち出せない要因になったりもするし、一貫性のないスポット的、局地戦のような展開になったもする。
または『アレもコレもやろう!』的なノリになったりもして、いかにもその業界っぽくなるパターンもある。
いずれも価値が幾つもあるがゆえのことだが、一つにまとめてみれば独特な価値があるわけだから勿体ない話だとも言える。
『いかにお家を絶やさず生き延びるか』という真田家の最大ミッション、その結果は周知の通りだけれど、ふむ。多くの企業、店舗、人にとっても引用できると思う次第だ。
やや余談的だが、信繁(幸村)が主役なのに、昌幸がその座にある描き方。いかにもじゃなくて、この辺りも個人的には良い感じ。
さ、第七回『奪回』が楽しみだ。