ヤフオクを眺めてたら目についたCDプレーヤー。型番やビットストリームのバッジからCD-72の姉妹機と思われるが全く記憶にない機種で珍しく思い、落札したもの。

発売は恐らく1991年辺り、定価は5万弱と言ったところだと思う。

知らんけど。

30年以上前の機体の割には綺麗な個体でした。


当時の日本マランツはPhilipsの傘下で、使ってるドライブユニットもDACもPhilipsのものを使ってましたが、中をはぐって見るとドライブユニットはCDM-4、DACはSAA7350GPでした。


躯体はCD650からの流れを汲むプラスチック製で、デザインからすると1989年発売のCD-50の後継機と思われるが全く分からない。

海外ではmk2やSEといった派生機種が出てるのでそれなりに売れた機種だったと思うが、日本だと某アイアンマンのお陰でプラスチック製の躯体なんぞは評価の対象外だったであろうから、(日本と言う閉じられた世界では)見向きもされず歴史の闇に葬り去られたのだろう。

因みに、1986年当時、音質でプラスチック躯体であるCD650を上回る機体は極めて少なかったがこのCD-52も破格の音質で、これに匹敵するのは同じマランツのCD-72aか、PioneerのPD-UK5くらいか。(個人の感想です)


このSAA7350GPですが、16bit PCMデータを高速1ビット変換する回路を採用したので、これまでのマルチビットDACのような16個の抵抗をレーザーで削り取る工程が不要となり、低コストで手軽に高精度なDA変換が可能となりました。。フィリップスでは当時これを「ビットストリーム方式」と呼んでいましたが、要は「DSD方式」です。

BITSTREAM CONVERSIONのロゴマークがDSD信号の概念図にクリソツです。



SAA7350GPはのちにTDA1547と組み合わされて「DAC7」の愛称で一世を風靡しますが、これ単体でも極めて優秀。本機の音はきめ細かくとても滑らかで、DACからの音がそのまま何の抵抗もなく出ている印象。でも、それも金属のような固有振動を持たないプラスチック製躯体を用い、大容量コンデンサーを採用していないシンプルなオーディオ回路もそれに貢献している印象。

不満点は汚く荒々しい音の再現は苦手なことだけど、これほど"隠れた名機"と言う言葉が似合うのも珍しい機体です。