飲食店の値上げを考える
ここ最近の強烈な円安の影響と政府主導の最低時給引上げ、社会保険加入政策などもあり、飲食店はかかる経費のほぼ全てと言ってよいほどコストが上昇しています。
食材の仕入れ、非食材の仕入れ、水道光熱費、人件費、社会保障費などこれだけ価格が上がっても飲食店はなかなかフルに価格転嫁できません。
特に厳しいのは事業規模が小さくて販売価格が低い業態やお店です。
最近勢いに陰りが出てきた鶏のから揚げ専門店ですが、当初は輸入鶏の価格も落ち着いていて低価格販売を行っても利益は十分に確保できていました。
コロナが長期化し、物流が滞り、強烈な円安になると輸入鶏の国内鶏に対しての価格優位性が無くなり利益が吹き飛びそうなほど原材料費の高騰が起こりました。
電気代は大型店や電熱器具を使用するビルテナントなどは驚くほどのコストアップ。
通常店舗でも体感的には3割~4割高くらいに感じていると思います。
そして追い打ちをかけるのが最低時給の引き上げと社会保険適用条件の変更によるパートなどの働き控えによる人手不足と採用費のアップ。
このような状況でも生き残るためには《値上》は必須です。
当然ですが利益が無くては事業の継続は出来ません。
ではどう値上げをするか。
値上の方法は大きく分けて3つの方法があります。
1.単純に値上げを行う
これはお客様に仕入金額の高騰などをお伝えして売価を値上げする方
法です。
ただ、この場合は商品は何も変わっていないので値上げ幅は小さくな
ります。
2.内容を変更して販売価格を値上げする
この方法はメニュー自体を全面的に見直して商品内容や量、盛り付け
や調理方法などを変更してお客様が感じる《相対価格》の価値を上げ
て値上げを行う方法です。
こうすることで販売価格の低い商品の値上げは抑えつつ、販売価格の
高い商品の値上げをしっかり行い粗利益を増やします。
3.量を減らして見た目の販売価格は変えずに実質値上を行う
これは一人前の量を減らして原価を抑えることで、もともとの原価率を
維持して利益を確保する方法です。
一番良い方法は、この3つを組み合わせて顧客満足度、価値観を下げることなく値上げを行う事です。
当然販売価格が変わるので接客などのサービス面もより良く見直す必要があります。
接客面では人手不足でなかなか大変だと思いますが、【見えるところはアナログで、見えないところはデジタルで】という具合で省力化できるところはしっかりと省力化して対応していきましょう!