日本のスイミングスクールが盛んになり始めてほぼ半世紀。1964年の東京オリンピック以降
に、体育振興が濃くなり、スイミングスクールが出現し始めました。大きなプールで、一度に
たくさんの生徒を抱えられるスイミングスクールは、それまでの習い事よりも多くの生徒を
一気に集客出来る上、小児ぜんそくを持つ子どもにもよいとか、風邪を引きにくくなるとか…
などの効果も奏功し、習い事No.1の座に長く居ついています。

昔は、スイミングスクールも週2回が当たり前でしたが、習い事の多様化、負担月謝の抑制
などの面からも、週2回コースのニーズは減ってきます。今では、週1回コースが主流
でしょう。この10年くらいは、子どもの習い事も多様化しました。サッカー…ダンス…英語…
などがかなりシェアを伸ばしてきています。しかし、マーケテイング会社等のアンケート調査
結果では、今でも水泳が習い事No.1という発表になっています。

その間、日本の競泳事情も変わってきました。古くは、故 古橋先生の時代から長らく世界の
トップに出る選手が非常に少なった時代が続きます。しかし、1988年のソウル五輪において、
鈴木大地選手(現 日本水泳連盟会長及びスポーツ庁 初代長官)が、作戦勝ちともいえる
バサロ戦術で、100m背泳ぎにおいて見事に金メダルを獲得! 1992年のバルセロナ五輪では、当時中学生だった岩崎恭子選手が200m平泳ぎで金メダルを獲得!1996年アトランタ
五輪では、やや失速した日本チームでしたが、2000年シドニーでは金メダルこそなかった
ものの、銀2つ、銅2つを獲得!女性パワーがさく裂したオリンピックでした。そして、記憶に
新しい2004年アテネと2008年北京と北島選手の2種目金メダル。アテネにおいては柴田
選手も800m自由形で金メダルを獲得!
このような日本選手の活躍で、オリンピックを夢見る子どもたちも多くなっています。

我々指導者は、子どもの夢を大きく膨らませ、夢に向かって努力する心を培っていかせ
なければなりません。多少の困難にも打ち勝つ気持ち、乗り越える意思、逃げない心を
養わせなければなりません。 失敗したら “reset”ボタンを押してもう一度簡単にやり直
せるゲームと共に育った子どもたちは、時間をかけてコツコツと努力するという気持ちが
少し弱いように感じます。たった一度のチャンス!という認識が甘いように感じます。
失敗したら「もういちど!」とすぐやり直しを求めます、ゲームと異なり “reset”ボタンは
ないんだ…ということを認識させなければなりません。
また健康維持のために、せめて水泳で運動をさせようと考えている保護者の方も
いらっしゃいます。お勉強を一生懸命にさせたい、英語を習わせたい、塾に通わせる…
でもカラダが弱くてはこまるので、とりあえず小学生のうちは水泳だけでも…と。そのような
保護者のニーズにも応えるべく、体力づくり、健康維持のために水泳を指導しなくては
なりません。速さ、強さが第一ではなく、丈夫さ、健康さがまずは最優先。そのような子ども
達も、オリンピックを夢見る子どもたちも、まず初めのころは、やっていることに差はありま
せん。同じように練習しますが、声掛け、動機づけの方法がやや異なります。

子どもの希望、保護者の意思、あるいは何となく水泳を習っている子ども、習わせている
保護者においては、我々は動機づけをさせてあげる必要もあります。

習い事No.1と久しく言われている水泳は、この半世紀、大きく社会に貢献してきたと思い
ます。これからも、より一層の貢献ができるよう我々指導者は、歴史と実績に誇りを持ち
ながらも、さらなる高みを目指して邁進しなければなりません。
全国のスイミングスクールで指導に関わる皆様、頑張りましょう!!