すずむしの鳴く、過ごしやすい季節になりましたね!


さて、vol.51の続きですが~ アドバイスの方法の話を少ししましょう。「補助」とは、何も腕や脚、体を持って動かしたり、支持したりするだけのこととは限りません。“言葉”でのアドバイスも、充分な「補助」と言えるでしょう。 コーチ(指導者)の使命は、その泳者の泳力上達です。手足を支持した「補助」ばかりでは、その泳者自身の動きは身に付きにくいと前回お話しましたよね。声だけのアドバイスで、泳者が上達すれば、それに越したことはありません。

あとちょっと…というレベルの場合は、何も腕を持ってあげたりしなくてもいいのです。言葉での補助をしていきましょう。 結果を先に言うと「補助」のポイントとは、徐々に支持を減少させていくこと! ということになります。例えば、平泳ぎのキックの練習の場合だと、はじめはコーチが足首を持つなりして動きを教えていきます。次に、泳者が自分の力で動かしてキックします。そこで、キックが広すぎればコーチが左右に手を壁のように広げておき、コーチの手に当たらないように蹴らせるとか、狭すぎればひざを支持しながら少し外回ししながら蹴らせるとか…のように特定ポイントの支持をします。大方できてきたら、コーチは手を差し出さずにけらせていきます。最後の挟み込みが悪ければ、けり終わって伸びている状態の時の泳者の足首付近に手のひらを差出し、「コーチの手を挟んで!」と言えば脚はしっかり閉じるようになります。さらにできてきて、もうひと伸びがほしいだけなら、けり終わったあとに「イーチ、ニーイ、サンッ!」って言うだけでいいのです。その間、伸びを取らせるように伝えれば自分で、蹴って閉じて伸びることを覚えていくものです。ほとんど動きはできていて、伸びがほしいだけの状態の子どもには、伸ばすことだけを意識させればよいのです。それなのに、そのようなアドバイスをせず、コーチの脇を通過する時だけ足首をつかんでコーチが動き全体を動かして、伸ばさせて脚を押してスーッ!と進ませるだけでは、見た感じ「補助」してる!指導しているコーチ!って見えるでしょうが、実は泳者の上達には何もよいことしていません。それこそ、他の泳者の支持しながら、すれちがいざまに「イーチ!ニーイ!サーン!」ってその泳者に“言葉”の補助をしてあげるだけで、同時に2人に的確な指導をしていることになります!


その“言葉”の遣い方ですが、その昔はプールのコーチは、地獄の鬼より怖い存在でした。今は、そんなコーチ減りましたね。滅多に見かけません・・・体罰禁止や時として過保護すぎると思われるような保護者からのクレームなどもありますし・・・まあ、それはいいとして。何も、プール中に響き渡る声で、すべてを大声で張り上げていなくてもいいのです。たくさんの人に通じるよう内容で、たくさんの人に同時に伝えたければ、大声でいえばいいのです!「はーい!もっと脚のばしてー!元気よく~!!」ってね。でも、例えばビート板キックしていて、一人だけビート板に添えた腕が曲がっている泳者がいたら、その泳者のそばに行きコーチは水面に肩がつかるまで姿勢を低くして、「腕曲がっているよー!肘伸ばすんじゃなかったっけー!?」と、その泳者だけに聞こえるように言ってあげれば済む話です。自分のことをしっかりと指導してくれている…と思ってもらえます。指導時間中、絶えず全体への声掛け、補助も同じ均一補助では、いけません。グループが5人でも、例え20人いても、全体指導の中に個別指導を施していけなければいけません。泳者それぞれのクセや特徴があり、良い点も悪い点も様々なはず。“指導者1人 対 泳者5人” の指導をしているようでは決してよい指導者とはいえません。

よい指導者とは、“指導者1人 対 泳者1人 × 5人分”の指導ができる指導者のことを言うのです!!


週末はあいにく、雨続きらしいですが・・・レジャーに行けない分、プールで泳いでみましょう! では、また!