もう9月ですね。
オリンピックも終了し、その後のインターハイでも好記録連発! 残すはインカレで盛り上がってほしいですね!
さて、vol.47の続きですが、vol.47ではコーチの動き、ゼスチャーの話をしましたが、今号は“表情”のお話を進めてみましょう。
スクールのほとんどでは、水泳帽(スイミングキャップ)をかぶるところがほとんどですね。もちろん、髪が目に入るとか、絡まるとか…の事故防止や衛生面からの理由もありますし、その他、プールのろ過器やその他水の循環の機械は、抜け毛がやっかいでして・・・そのメンテナンスは大変なんです。ま、理由はどうとして、生徒も指導者も、みな水泳帽をかぶっています。そして、指導者のほとんどはスイミングゴーグルをしています。
キャップとゴーグルで、表情の半分近くを隠してしまっているので、結論から言いますと、コーチの表情は非常にわかりづらいのです。
銀行の窓口のお姉さん、デパートの案内係のお姉さん…など、接客の最前線の方々の基本はもちろん「笑顔」ですよね。コーチにも、その笑顔は大切な要素の一つです。では、笑顔はどうやってつくるのでしょうか?
下の絵をみてみましょう。
1の男性は、目が笑っているように見えますが口元は決して笑っているようには見えません。しかし、全体的に見るとやや笑顔かな…という印象です。 2の男性は、きりっとりりしい表情です。決して笑顔ではありませんね。 3の男性は、眼は2と同じですが、口元は開いて笑っているようにみえます。
では、それぞれの男性が帽子とゴーグルを装着すると、どうでしょう。
1-Aの男性も、2-Aの男性も同じ表情になりました。口を一文字につむっていると、笑顔にはとうてい見えません。3-Aの男性は、口を開いているので笑ってみえます。
小さな子どもからしてみれば、泳ぎもまだまだ自信なく、下手すればプールの深いところにはまだ恐怖心があるような状態で、水面から見上げる大きなコーチが帽子にゴーグル姿で、見下ろすように仁王立ちしていたら、ますます萎縮するばかりでしょう。帽子とゴーグルは表情をわかりにくくするのです。せめて、口元を笑顔にして、接してあげましょう。笑顔に見せる口元とは、専門的には“口角”という口の両端を引き上げるようにすると、笑ってみえるものです!鏡で練習ですね!
口以外の部分だと、“まゆげ”もポイントになってきます。上の絵だと、ゴーグルで隠れてしまっていますが、まゆげが全体的にあがっていると、目を見開いた状態を印象づけるので、笑顔に見えやすいものです。
コーチは、何も常に笑顔でいなければいけないわけではありません。水泳は、“水”を媒体にしたスポーツであり、“水”は簡単に人の命を奪う力をもっています。危険要素の回避は、コーチの最重要課題ですので、危険なことを発見したらやはり真剣に注意、指導しなければなりません。
そういう場合、この表情が見えない水泳帽とゴーグルの力を逆に利用することもできるのです。まゆげの左右両端を吊り上げ、もちろん真面目に起こった表情をします!時には口を大きくあけ怒鳴ることもあるでしょう、近くで注意する場合だとしても、口はとがり気味になると思います。そこで、ゴーグルで目が隠れていると、怖さがさらに大きくなるものなのです。表情がわかりにくい…という点を逆にとって、しっかりと注意する!ってことも効果的になりますよ。
以前もお話したように、動作、ゼスチャーの大きさ、わかりにくい中でも表情をしっかりとつけることで、プール内の生徒にはもちろんですが、ガラスの向こうにいるギャラリーの保護者の方々にも、大きくアピールをすることで、そのコーチ、スクールへの信頼性が増すことになります。
立ち位置、動き、ゼスチャー、表情を使いこなすことで、ギャラリーから見ている印象は、不慣れな新米コーチか、それなりの経験者か…と、大きく変わって見えるものですよ!!
次回は、補助法、アドバイスの仕方…などをお話していきましょう!
ではー!!
