北京オリンピック競泳が、盛況のうちに終了しました。水泳としては、まだシンクロなどありますが・・・。


今回の注目は、「北島選手の2種目2連覇」、「M・フェルプスの8冠なるか?」、「スピードのLR水着による記録ラッシュ!?」などが、おもな見どころであったと思う。

そしてなんと、3つとも期待を裏切らない結果となったのであった。


まずは、LRの水着の件ですが、種目によっては決勝8人すべてがLR着用という光景も目にした。オリンピックではないが、現在開催中の高校総体(インターハイ)の競泳でも、LRが活躍しているのである!!

今回のオリンピックでは、25個もの世界記録が誕生した。そのうち、LR着用による世界新記録はなんと23個である。まあ、これでアリーナもミズノも、アシックスも本腰を入れて、新作高速水着の開発に取り組むことであろう。選手のことを考えた結果とはいえ、契約アスリートだけではなく、メーカー所属選手さえ、LRを着用しての出場を許したわけで、一般人には寛大なところを見せ付けたとはいえ、屈辱であろう。自分のメーカー所属の選手が、ライバル社の水着を着て新記録を出したのでは、手放しでは喜べないのが本音ではないだろうか・・・。

LRは競泳だけではなく、今回のオリンピックで競輪の選手も着用をしたようだ。陸上での競技とはいえ、空気抵抗だってもちろんあるし、LRの締め付けがパフォーマンスを高めるらしいとのこと。競輪の結果は、取材していないのでLR効果があったかどうかはわかりませんが・・・。


さて、M・フェルプス選手の8冠は、見事に達成された。すでに生涯獲得メダルが14個だって・・・。ほしくてもほしくても、取れない人がたくさんいるし・・・オリンピックにさえ出場できない人の方が多いだろうに。まったくすごいスイマーだよ・・・。

しかも、8個中7個が世界新記録だっていうから、さらなる驚きである。I・ソープのすごさも薄れ、記憶からも薄れてしまったね。ソープにも驚きだったが、今回のフェルプスはそれ以上の驚きである。特に100Mバタフライの決勝レースと800Mリレーは、凄まじいものであった。800Mリレーは、アメリカのアンカーであるレザックが、2位で引き継いだ。ラスト5mまでは抜けずに2位のまま・・・タッチ差での大逆転優勝にフェルプスも、すごい雄たけびをあげていたのが印象的である。

100Mバタフライも奇跡的なレースだった。これは、ラスト5mどころかラスト30cmまで2位であった。先頭の選手は、もうタッチ姿勢に入り壁に触る瞬間…フェルプスが、最後のリカバリーから勢いよくタッチ。結果、1/100秒差での金メダル獲得となった。努力と才能と、運までも味方につけたフェルプスは、本当に圧巻であった。


そして、北島康介・・・長年のライバルであるB・ハンセンは、前回(vol.48)に書いたとおり、終始首の傾きと冴えない表情でしたね。

100mは、ダークホースの出現もあり、新たな不安(?)をもってしまいましたが、そんな不安を持つことが失礼でした…と、頭を下げたくなるような完璧なレースを北島選手はやってのけ、世界新記録というプレミア付きで2連覇を成し遂げました。前半は、あれでダッシュしているの?と思ってしまうくらいの“伸び”のある泳ぎで、スイスイと進んで行きました。あれだけ避抵抗の姿勢ができるのも素晴らしいですね。そして、後半はかつての日本記録保持者であった林亨さんを思わせるようなギアチェンジで、どの選手よりも力強く速いピッチのストロークで、見事に世界新記録達成。

「なんも言えねぇ~」のインタビューに、見ているこちらもウルウル来てしまいました。


200mは、世界記録こそ更新できませんでしたが、強さを見せつけたレースでした。かっこよかった!!


そして、400mメドレーリレー。前回(アテネ五輪)とは、北島選手以外は違うメンバー。みな緊張もあったろうが、素晴らしかった! 宮下選手も持ち前の後半の粘り強さを発揮した。4位で引き継いだ北島選手は、見事にみなを抜き去りトップで、藤井選手へ。北島選手のラップタイムは、58秒0であった。スッ、スゲェー!!ここでも、先行するB・ハンセン選手を見事に抜き去った。88年、ソウルオリンピックでは、100mBaで金メダルをとった鈴木大地選手は、その後のメドレーリレー決勝では、1位で引き継げなかったこともありましたが、今回の北島選手は、個人レースでもメドレーリレーでも、王者の風格を現わしていたのである。そして、何よりも一番、プレッシャーを感じていたのがFrの佐藤選手だろう。個人種目予選敗退は、リレーメンバーでは、Frの佐藤選手だけ。日本ではキング佐藤とはいえ、Fr短距離においては世界との格差はまだまだ大きい・・・抜かれてメダルを逃すなんて結果になれば…など、本人も相当の緊張と不安もあっただろうが、見事に快泳をして3位でゴール!! 歓喜の銅メダル獲得である。


まだまだオリンピックは続きます。水泳以外の種目にも注目して、皆様、観戦、応援していきましょう!