—雪化粧— | 『紅の流血戦姫【クリムゾン・ブラッディ・ヴァルキュリア】』

『紅の流血戦姫【クリムゾン・ブラッディ・ヴァルキュリア】』

~風の様に気侭なルシファーの気まぐれ不定期更新ブログ~

ある朝、少女は窓を開く

そこは一面の銀世界で

吐息は白く染め上げられた

少女の躰は寒さに凍え

少女の意思に従わない

少女の主の雪の魔女は

少女にそっと呟いた

『キミが自由に動けるならば
 キミの恋人を解き放とう』

少女は走り出そうとして

躰が動かず倒れ込んだ

されど少女は諦めず

一心不乱に抗い続けた

それから一刻ほど抗い続けると

まずは心[ココロ]が氷解し

少女の躰に涙が戻った

次に心[シン]が氷解し

少女の顔に笑顔が戻った

最後に躰[カラダ]が氷解し

少女の躰は自由を得た

雪の魔女は少女に告げる

『さぁ、お行き
 幸せはすぐそこにある』

少女は魔女に微笑んで

恋人の所に走り去った

彼女は不幸か幸福か

それは誰にも解らない

そう、雪の魔女でさえも…


            ~Fin~