ある朝、少女は窓を開く
そこは一面の銀世界で
吐息は白く染め上げられた
少女の躰は寒さに凍え
少女の意思に従わない
少女の主の雪の魔女は
少女にそっと呟いた
『キミが自由に動けるならば
キミの恋人を解き放とう』
少女は走り出そうとして
躰が動かず倒れ込んだ
されど少女は諦めず
一心不乱に抗い続けた
それから一刻ほど抗い続けると
まずは心[ココロ]が氷解し
少女の躰に涙が戻った
次に心[シン]が氷解し
少女の顔に笑顔が戻った
最後に躰[カラダ]が氷解し
少女の躰は自由を得た
雪の魔女は少女に告げる
『さぁ、お行き
幸せはすぐそこにある』
少女は魔女に微笑んで
恋人の所に走り去った
彼女は不幸か幸福か
それは誰にも解らない
そう、雪の魔女でさえも…
~Fin~