サクラの唄 | 『紅の流血戦姫【クリムゾン・ブラッディ・ヴァルキュリア】』

『紅の流血戦姫【クリムゾン・ブラッディ・ヴァルキュリア】』

~風の様に気侭なルシファーの気まぐれ不定期更新ブログ~

染まれ染まれ―――深紅に染まれッ!

紅い桜の花びらよ、風に吹かれて舞い落ちろ

鮮血に染まった吹雪のように

吹き荒ぶ風に舞い散らせ

桜吹雪を見た少年は疑問に思うだろう

『桜はどうして紅いのか?』

『それには私が答えよう』

いつの間にか少年の背後に立っていた
ボロ外套を纏った男が口を開く

『それは血を養分にしているからさ』

『このように私が狩ったモノの血をね』

男はそう言いながら少年の首を狩る

いつの間にか持っていた大鎌で

少年は狩られた事に気が付かない

その眼は桜の樹をまだ見ている

なぜなら少年は頭だけで宙に浮いていた

体は地に倒れ伏したのに

切断面からは血が流れてこない

男の不思議な力だろうか?

しかしどうやら違ったようだ

その証拠に男は桜の樹に話しかける

『サクラよ、また頭だけ固定して血を止めたのかい?』

どういう原理か分からないが樹から声が聞こえてくる

『ええ、私の為に散る命だもの』

『その顔、少しでも憶えていたいと思ってね』

そう言うと宙に浮いていた少年の頭は

物凄い勢いで桜の樹に吸い込まれた

そして男は少年の体から出始めた血を

桜の樹の下に流し込む

血が出なくなるとその体は頭と同じく

樹の中に吸い込まれて行く

その作業が終わった時、男は樹に話しかける

『サクラよ、私は獲物を探してくるよ』

『また会おうサクラ、君が体を手に入れるその日まで』

『私は獲物を狩り続ける事をここに誓う』

『ありがとう、愛してるわ』

『私もだよサクラ』

そして男が去った後、サクラは唄を紡ぎ始める

それは荒御霊を鎮める鎮魂歌

それは男に捧ぐ恋歌

それは獲物を呼び寄せる罠

それは甘美で残酷な愛の唄

『アハッアハハハハッアーハッハッハッ』

            ~Fin~