5月25日は、小島の29歳の誕生日だった。
Kちゃんから「嫁に譲りたくないから、誕生日は私に頂戴ね!」と言われていた。
もちろん小島もそのつもりだった。
小島はKちゃんから前もって「誕生日にどこか行きたいとこある?」とか「何食べたい?」と聞かれた。
Kちゃんと過ごせるなら、本当にどこでもよかった。
そして、本当に何でもよかった。
だから「お任せで!」とだけ言った。
こういう返答が一番困るのは小島も重々わかっていた。
けれど小島は、Kちゃんが考えるプランを味わいたいという気持ちが強かった。
小島の誕生日に2人は、ちょっとお洒落なイタリアンの店に入った。
小島は普段、中華ばかりでイタリアンを食すことがない。
いつも小島が食べたい料理を注文していたのだけれど、この日ばかりはKちゃんに注文を任せた。
そして小島なら絶対注文しない洒落た料理が出てきた。
小島は後にこう語っている…
「あの時の料理は、どれもおいしかった!」
小島は次の日が仕事だったので泊まりができなかった。
なので食事を済ませてから、Kちゃんが運転する車でドライブをした。
行き先もKちゃんに任せていたので、小島はあえて「どこ行くの?」とは聞かなかった。
車はどんどん山を上がって行った。
山の頂上まで来るとKちゃんは「着いたよ!」と言った。
そこは夜景の綺麗なところで地元のデートスポットであり、霊が出ると有名な場所だった。
小島は1度車で通ったことがあったけれど、立ち寄ったのはこの時が初めてだった。
少し歩くと展望台があったので、2人でそこに向かった。
歩いている時に「いるいる」とKちゃんがボソリと言ったので「やっぱりカップル来てる?」と小島が言うと、「いや…霊が…」と返ってきた。
小島は、あえて聞かなかったことにした。
展望台に着くと誰もいなくて、小島とKちゃんの2人だけだった。
そこから見える景色はとても綺麗で、2人はしばらく眺めていた。
「今見えてる町はどこの町かな!?」
「えっ!?やっぱりトシは方向音痴だね(笑)私の住んでる町だよ(笑)」
「し、知ってたけどな…」
「ハイハイ…
トシ…産まれて来てくれて…私に出逢ってくれてありがとう。
誕生日おめでとう」
Kちゃんはそう言って小島にプレゼントを渡した。
「ありがと!凄い嬉しいけど…それを態度に出すの凄い苦手(汗)
本気で喜びたいから…家に帰ってから開けていい?」
「バカなの!?今すぐ開けて!」
「あっ、はい(汗)」
小島が箱を丁寧に開けると、Kちゃんが着けているのと同じ『スント』というブランドの時計が入っていた。
小島は、Kちゃんが着けているのを見ていて「カッコいいな!」と思っていたのですごく嬉しかった。
「オソロじゃん♪ほんとありがと!」
「同じ時計をしてると本当に同じ時間を生きてる気がしない!?
だからトシには絶対この時計をあげたかったの!」
「同じ時間ね…Kちゃんが言うと確かにそんな気がしてきたわ!じゃあピッタリ時間合わせようよ!」
「え~面倒くさい(笑)」
「お前そういうとこあるよ(怒)」
「はい出た~お前呼ばわり!罰金1000円ね!」
「えっ?いつからそんな法律が(汗)」
小島は後にこう語っている…
「Kちゃん性格がネジ曲がってるから取扱い説明書が欲しかった(笑)」
と言いながらも「幸せな誕生日だった。」とも言っている。
そして小島は、今もKちゃんからもらった時計と同じ時計をつけている。
もう4代目になってしまったけれど…
つづく










