Kちゃんは複雑な家庭で育った。
Kちゃんの母親は離婚を2回している。
Kちゃんが中学生になったばかりの時に2人目の父親が現れた。
Kちゃんは、母親から寝る前に「お父さんにおやすみのキスをしなさい!」と言われていた。
思春期のKちゃんは、「突然現れたオッサンに何でキスしなきゃいけないの!?」と思った。
Kちゃんが嫌がると、母親はヒステリックに怒り、Kちゃんを叩いた。
Kちゃんは母親が嫌いだった。
母親は、Kちゃんが入院していても病院から呼ばれない限り病院に来ることはなかった。
中学生の女の子が誰も来ない病室で1人で過ごす…どんなに寂しかったろうか…
「私は必要とされてない邪魔な人間なんだ。愛されない人間なんだ。」と、Kちゃんは、リストカットで何度も死のうとした。
Kちゃんが高校生になると、母親は2度目の離婚をして家計は苦しくなった。
Kちゃんの病院代、大量の薬代…母親はお金の工面に大変だったこともあってか毎日イライラしていた。
母親は、
「入院してないときは、男に体を売って金少しでも稼いでこい!」
「お前なんか生きてたって意味ないんだから早く死んでくれないか?」
そんな言葉を毎日Kちゃんに浴びせ続けた。
Kちゃんが高校2年生の時に母親は3度目の結婚をした。
3人目の父親はヤクザだった。
気に入らない事があると母親をすぐ殴るDV男だった。
そしてKちゃんが学校から帰宅して家にいるのに、昼間から居間で母親とセックスをしていた。
「家に居たくない…」Kちゃんがそんな気持ちで付き合い出したのがヤンキーグループだった。
Kちゃんは、仲間に合わせるように服装や髪形が派手になっていった。
そのグループは、女をさらって廻したり何でもありの集団だった。
幸いKちゃんが当時付き合っていたのが、そのヤンキーグループのトップの男だったので、Kちゃんの身は安全だった。
けれど、その頃のKちゃんはいつ死んでもいいと思って生きていた。
Kちゃんは、小島にこんなことを話している。
「私さ…学生の頃からほんと男選び下手でさ~ヤり目の男ばっかり近寄って来てたんだよね…
それで、ヤったらポイされて」と。
小島はKちゃんと過ごしていろんなことを話しているうちに、この話は間違いではないけれど少し違うことに気が付いた。
ヤったらポイというよりも、Kちゃんが自分の病気のことを話したり、病気を支えきれなくなった男たちが去って行ったのだと。
そんな考えを確信するのがKちゃんとのセックスの時だった。
Kちゃんは、すごかった。
キス、フェラ、挿入してからの腰の動き、全てにおいて小島が今まで経験してきた女性とは格が違った。
小島はKちゃんと出会うまでに70人以上の女性と経験をしてきたけれど、今までのセックスはなんだったんだろうと思うほどKちゃんのセックスは良かった。
Kちゃんにとってセックスは命を削る行為だと言っていた。
そしてKちゃんの病気が原因で男たちは去っていった。
だから小島は思った。
病気というハンデがあっても必要とされるように、捨てられないように、つなぎとめるために命を削って必死でテクニックを磨きあげたのだと。
そして命懸けだから他の女性と格が違うレベルになったのだと。
だから、小島はKちゃんとセックスすると気持ちいいのだけれど、いつもとても悲しくなった。
つづく








