ホントは切ないフリアグネ [『灼眼のシャナ』第6話] | 内向的思考型人間の物思い@Ameba

ホントは切ないフリアグネ [『灼眼のシャナ』第6話]

本家記事にもアクセスお願いします:http://voacgapr.blog107.fc2.com/blog-entry-85.html

このトピックは2010年11月19日のツイートを元に加筆・再構成したものです。

それでは、『灼眼のシャナ』第6話「交錯・発動・対決」についてのレビューを始めましょー。動画はこちら。無料配信は22日までなのでまだの方はお早めに。

灼眼のシャナ 第6話「交錯・発動・対決」 : ニコニコ動画

今回は原作における第1巻フリアグネ戦のクライマックスです。しかし、アニメ版ではフリアグネが討滅されることと、零時迷子のタネが明かされること以外はほぼ原作とは展開を異にしています。これは全25話あるアニメの6話目でシリーズ一番のクライマックスが来てしまうことを避けるためです。

「シリーズが20巻も続いている作品なのに、1巻のエンドが1番のクライマックスとはどういう事だ?」と思われる方がいるかもしれませんが、ライトノベルとはそういうものです。以前述べたように、1巻を執筆する時点ではシリーズ化が決定していない場合が多く、作者さんも比較的経歴の浅い方が多いため、とにかくこの1冊にかけるという意気込みでストーリを完結させてくるのです。シリーズ化の決定した2巻以降は、全体の構成を見据えて続きを作るので、普通にアニメ化すると25話目なんてのは原作の結構中途半端な部分に差し掛かってしまったりもして、番組としてまとめるのが難しいのですよ。

まあ、どう変更されたのかについての詳細はネタバレになるので最終回が終わってからにします。

ただ、たとえ展開が違ったとしても、キャラの魅力が全く伝わらないアニメ化になったのはまた別問題のような気がします。原作未読の方から寄せられるコメントを見ても分かるとおり、アニメ作品単体として何が何だか解らないことになっています。ここまでなら比較的多くのラノベ原作アニメの動画で起こる現象なのですが、今回の動画で面白かったのは、原作既読のファンがそれらのコメントを肯定したり同情したりしている様子が伺えることです。

実際、原作既読の僕の視点からして、今回のアニメのキャラクターたちは各々の行動理念が全く明確にされないまま、原作でとった行動のみをトレースさせられたような出来栄えなのです。各キャラクターがなぜあのタイミングで、あのような言動に出るのか。未読の方には全く解らなかったでしょう。しかし、それこそがフリアグネ編の一番重要なファクターです。ですから、動画では「原作を読んでくれ」という悲痛な叫びがいくつも見られ、それは当然僕も同感です。が、原作を読まなければ解らないのではアニメ作品としては成立していないのと同義で、悲しくなります。

僕は、1巻は原作を先に読み、2巻以降はアニメ(1期)が先という珍しい類の人間だと思いますが、2巻以降の部分であれば逆にアニメのほうが上手く演出できている点も多くありました。だからこそ余計に1巻部分のクオリティが惜しまれます。仕方が無いので、各キャラクターがどういう思いで行動していたのか、少し解説してみましょう。お断りしておきますが、現在僕の手元に原作がないので、記憶を手繰り寄せての解説になります。細かい点では間違う可能性があるので、そこはご了承下さい。

原作未読の方にとって一番解らないのがフリアグネというキャラクターではないでしょうか。まず彼のバックボーンについて話をしましょうね。

フリアグネは、もともと宝具のコレクターとして現世に舞い降りました。悠二のようなミステスに特別な興味を抱くのは、その為です。しかし、彼の最大の目的は、最終的に別の事柄になりました。それは、マリアンヌと永遠に共にあることです。マリアンヌは燐子です。最初は捨てられていた人形の可愛らしさから彼女を燐子として活動できるようにしました。しかしフリアグネはそのマリアンヌを恋人として認めるようになります。

「燐子」というのは、紅世の徒が存在の力を使って現世で作り出すもので、徒のように紅世に帰ることができません。また、自らの存在を維持する力は持っていないため、存在し続けるには常に徒が存在の力を供給する必要があります。つまり、今のままではフリアグネとマリアンヌは共に永遠の存在であることもできず、また共に紅世に渡ることもできません。それをするためには、マリアンヌが燐子ではない正式な存在として生まれ変わる必要があります。

そこで、フリアグネは都喰らいを計画するのです。都喰らいは、膨大な存在の力を集めるための自在法です。発動させる方法はいくつかあるようですが、フリアグネの場合、今回登場した鈴型の宝具『ダンスパーティ』を使ってトーチを一斉起爆させる方法を計画していました。普通、人を喰らうとどうしても痕跡が残り、そこにフレイムヘイズが寄ってくるので、徒は1つ所に長く留まるようなことはしません。しかし、大量のトーチが必要なフリアグネは危険を承知で御崎市に留まっていたのです。

さて、フリアグネについてこれで少しは分かってもらえたでしょうか? では、物語の流れを原作と比較していきましょう。

原作では、まずシャナとアラストールが、御崎市のトーチの異常な数に気づきます。前述のとおり、普通徒は長く留まらないため、トーチの数はそこまで多くならないのです。ここから、都喰らいの疑いが生まれます。アニメではこの点に気づいたのはマージョリーでした。

しかし、シャナらにはフリアグネのアジトが分かりませんでした。すると悠二が「トーチを減らせばおびき出せる」という提案をします。シャナが町中のトーチを破壊し始めると、案の定フリアグネが出現し、最終決戦へと結びつくのです。アニメの場合、トーチを減らす役割はラミーに持って行かれ、悠二の活躍もここでまず1つ無くなりました。

悠二がフリアグネにさらわれるシーンは原作にもありますが、実はかなり重要なシーンで、アニメではそれが全く分かりません。スタッフ痛恨のミスと言えます。何なのかというと、初対面の時に平気で悠二を斬ったシャナが、今度はそれを咄嗟に躊躇ってしまい、攻撃のチャンスを逃す。そして一瞬だけ悔しそうな、辛そうな表情を見せる。シャナが自身の変化に気づき、それに気づいた悠二もまた、複雑な想いを抱く。というシーンだったのです。ちなみに「坂井悠二を破壊する」の下りは2巻の内容なので、シャナが悠二に刃を向けるのは原作ではこの後の話になります。

フリアグネは、未熟なシャナにとってはあまりにも強すぎる敵でした(アラストール自信は知らぬものはいない程強いのですが)。シリーズ中でも屈指の強敵のようで、シャナが何度もフリアグネにボコボコにされているのはこのためです。しかし、最終決戦でのフリアグネは、最終段階である都喰らいの布陣を壊さぬよう、力を制限せざるを得ませんでした。また、シャナは他のフレイムヘイズとは異なり、存在の力の炎を殆ど使えない代わりに白兵戦に長けていました。そもそもフリアグネの従来の戦術では相性が悪かったのです。

そのような特殊な状況の中、フリアグネは追い詰められていきます。そしてそれを見ていたマリアンヌは、他の燐子より多くの力を与えられている自信の大爆発に寄ってシャナを瀕死状態に陥れたのです。自分は燐子であるから、たとえ滅んでも修復できるだろうという算段のもと、「二人の願い」を叶えるための行動でした。

ここで、悠二が不自然さに気づきます。シャナが瀕死状態になり、攻撃する必要がないのに『ダンスパーティ』を鳴らし続けるフリアグネ(動画では18分から)。人気のない場所とはいえ、普段と違い封絶を張らずに行われている激しい戦闘(これは原作のみ)。そして悠二は叫ぶのです。

「封絶だ!」

『ダンスパーティ』が都喰らい発動の鍵であるならば、封絶を張ってこの空間を隔離してしまえば町中のトーチに影響はない。その事実に気づいた悠二の機転でした。以後、悠二はシャナの戦術担当(?)としてシリーズを通し活躍するのですが、アニメではここも無くなってしまいましたね。さて、追い詰められた上、最愛のマリアンヌを蘇らせることも永遠に叶わなくなってしまったフリアグネはここで初めて発狂します。ダグで「エアマリアンヌ」と言われたあの動作にはこうした背景があるのです。

ここから先はフリアグネが儚くも最愛の人を思いながら滅んでゆくという流れです。前述の通り、ネタバレにつき後日にします。

最後の最後でシャナと心が通じ合えたことに安堵した悠二は、ついに消え行く覚悟を固めます。が、……消えずに済んだわけですね。個人的にはあそこで消えていればどんなに綺麗な作品になっただろうと、残念でもあります。しかしそこは大人の事情。仕方ありません。それにシリーズ化していなければ僕はこの作品に出会っていなかったでしょうし。

という訳で、これで少しは分かっていただけたでしょうか? 原作のフリアグネはキャラクターとして独特の深さを持っていましたし、敵としては作品テーマを最も体現していたキャラだと思います。シャナや悠二も含めて、その関係や設定がいい具合に生命の儚さや尊さみたいなものを訴えてくるので、僕はシリーズ中1巻が一番好きなのです。上手くアニメ化されていなくて残念です。

ただ、繰り返しになりますが、2巻以降の部分に関してはアニメ版に利のある部分も多いです。どうせ毎週無料で好きな時間に、コメント付きで見れるのですから、根気よく最後まで視聴されることをオススメします。

本家記事にもアクセスお願いします:http://voacgapr.blog107.fc2.com/blog-entry-85.html

『灼眼のシャナ』関連記事リンク