ねがい / 楳図かずお
(漫画なのでノーカウント)
糸島市図書館 蔵書なし(寄贈せずに大切に読みます)
■■■そこには少年が大人になる瞬間が描かれている!■■■
【ミッション】『何でもいいから』をピックアップせよ!
友だちのいない等(ひとし)少年は、友だちが欲しくて、でもなかなかできなくて、
寂しい思いをしていた。
ある日の学校の帰り道、道で木片を拾って家に持って帰る。
寄せ集めの材料を工夫して等身大の木製人形をつくり上げ、
友だちのように一緒の時間を過ごすようになった。
その木製人形は『モクメ』と名付けられ、かけがえのない大切な友だちになったのだ。
そして、少年は、宇宙のエネルギーを集めて『ねがい』をかなえる方法を同級生から教わる。
何でもいいから自分が集中できる物を用意し、その一点を毎日見つめて念力を送り続けるというものだった。
何度も何度も念力を送ったのだが、なかなかその『ねがい』は叶わなかった。
時が流れ、学校に転校生の女の子がやってきた。
少年は次第に彼女と仲良くなり、やっと本当の友だちをつくることができたのだ。
仲よくしていた『モクメ』が不必要となった少年は、一大決心をして『モクメ』と決別することを選ぶのだが…。
何の工夫もないような単調なコマ割で描かれてはいるが、そこに楳図先生の非常にリアルな描写が加わりなんともいえない雰囲気が伝わってくる。
改めて楳図作品を読み直してみて、そのクオリティの高さに感動した。
この『ねがい』という漫画は40ページにも満たない短編漫画なのだが、少年が大人に成長する瞬間をリアルに描いていて胸を鷲掴みされたようだった。
特に「友だちがいなくて寂しい」「友だちがほしい」と切に願ったことがある人なら、主人公の少年の気持ちが痛いほどわかり、共感して号泣すること間違いなしだろう。
6年生の息子に読ませると「こわかった!」と言っていたが、何度も何度も読み返し、自分が大人になった時には、違う意味でこの作品を読むことができるだろう。
少年が大人になるとき、その胸がキュンとなるような切ない思いで号泣したければ読むべし!
子どもの頃のあなたの願いは叶いましたか?