バルベリーニ宮とカラヴァッジョとアルテミシア展 | ローマの松の木の下で・・・

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公認ガイド、ローマの京都人ことAさんからお誘いがあり、

バルベリーニ宮殿におけるカラヴァッジョとアルテミシア展のガイドツアーに参加した。

 

 

詳しい説明はこちら。

 

 

 

今回のカラヴァッジョとアルテミシア展は、彼らのユディトとホロフェルネスの絵を中心に、

同じテーマの絵を31点も集めた、とても斬新的かつ興味深いものだった。

 

 

ユディトとホロフェルネスの逸話は旧約聖書に出てくるのだが、

ダヴィデとゴリアテやサロメと聖ヨハネの逸話と並ぶ、

有名な首切り事件なのである。

 

 

 

聖書には旧約と新約があって、

新約はイエスの生涯を描いたルカ、マルコ、マタイ、ヨハネの4人が書いた福音と

イエスの死後の聖パオロと聖ペテロの宣教伝などでなっている。

 

旧約はイエスキリストが誕生する以前の話が書かれている。

 

天地創造から始まり、アダムとイブの楽園の追放、ノアの箱舟などの逸話のあと、

 

神に選ばれたイスラエルの民がエジプトで奴隷生活を強いられたあと、

モーゼの導きで約束の地カナンにたどり着くが、

 

弱小民族のため、アッシリアやバビロニアなどの周辺の民族に支配され、

苦難の道を歩くストーリーが書かれている。

 

 

 

ユディットとホロフェルネスの逸話は、

そんなイスラエルの民を救おうとした勇敢な女性のストーリーで、

敵の陣地に入り込んで、敵の将軍を斬首して持ち帰るというもの。

 

 

 

 

カラヴァッジョの作品。

 

 

 

 

 

 

 

 

カラヴァッジョから影響を受けた同時代の画家の作品。

 

 

 

 

 

 

首なしの体が生々しい。

 

 

 

 

 

 

 

ヴェネチア派の画家ティントレットの作品は他のに比べるとエレガントかつソフトな感じがする。

 

 

マドリッド ・プラド美術館から借り受けたもの。

 

 

 

 

 

アルテミシアの作品では、

召使と一緒にユディットがホロフェルネスを押さえつけて

殺そうとしている。

 

 

 

 

アルテミシアはカラヴァッジョの友人画家、ジェンティレスキの娘で、

工房で使う絵具の作成をしたりして、父の片腕として活躍した女性画家である。

 

 

でも工房仲間にレイプされたりして、苦難の人生を歩んだそうだ。

 

 

この画家のことを今までよく知らなかったのだが、

Aさんが彼女の人生について詳しく説明してくださったので、

興味深く絵を鑑賞することができた。

 

 

 

 

 

 

父ジェンティレスキの作品。

 

 

ホロフェルネスの首をカゴに乗せてこっそり運び去るところ。

 

 

 

 

 

 

娘アルテミシアが全く同じ構造で描いたもの。

 

 

ユディットの表情が緊迫感に満ちていて、父の作品を乗り越えてる感がする。

 

 

 

 

 

ユディットとホロフェルネス展の後、

Aさんはバルベリーニ宮殿の常設展を案内してくださった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラファエロの情婦フォルナリーナ。

 

 

 

 

 

 

 

カラヴァッジョのナルシス。

 

 

 

以前バルベリーニ宮殿を訪れたのは、

この作品が現代アートのインスタレーションの一部になってた時だったなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ベアトリーチェ・チェンチの肖像。

 

 

これはベアトリーチェかどうか賛否両論があるのだが、

それをさておいて、

 

この絵に近づくと、

この女性の頬に一粒の涙が見える。

 

 

彼女をレイプし家族に暴力をふるった極悪の父を殺害した罪で、

22歳の若さで斬首刑に処された悲劇の女性である。

 

 

(最近イタリアで、家族を暴漢しまくった極悪の父を次男が殺害して

恩赦になった事件と対象的だ)

 

 

 

サンタンジェロ城前で行われたベアトリーチェの斬首刑が見世物になったのだが、

それをカラヴァッジョと幼い娘アルテミシアを連れたジェンティレスキが見に行った。

 

 

そこからインスピレーションを受けて、

ユディットの絵が生まれたそうだ。

 

 

 

 

 

今回のガイドツアーは2時間半。

 

 

その間ずっとAさんは、

 

絵の説明だけでなく、その絵の歴史背景や画家の人生を交えて事細かく、

 

身振り手振りを交えてわかりやすく、

 

京都弁の柔らかい、耳に心地良いイントネーションで、

興味深いお話をしてくださった。