11日、厚生労働省は60歳から65歳へと段階的に引き上げている
厚生年金の支給開始年齢について、2030年度を想定している
引き上げ完了時期を9年繰り上げて21年度とする案を
会保障審議会年金部会に示し、支給開始年齢そのものを68~70歳へと
遅らせる案も提示した。
68歳とした場合の引き上げスケジュールを公表し、
定年延長などの法整備は進んでおらず、早期実現は困難なのが現状だという。
60歳以上で働いている人の厚生年金をカットする「在職老齢年金制度」に関し、
60~64歳の減額基準を緩める案も示した。
賃金と年金の合計額が月28万円を超える場合、年金を減らしているが、
この基準を65歳以上と同じ「46万円超」へと緩和する案と、
60~64歳の平均所得に合わせた「33万円超」とする2案で、
来年の通常国会への関連法案提出を目指すようだ。
厚生年金の支給開始年齢は男性が13年度から、
女性は18年度から3年に1歳ずつ引き上げられ、男性は25年度、
女性は30年度以降65歳となることが決まっていて、年金財政の悪化を踏まえ、
厚労省は女性も男性同様13年度から引き上げを始め、
ペースも「2年に1歳」へと速めることで、男女とも21年度から
65歳支給に完全移行する案を説明した。
さらに男女とも13年度からの引き上げとしたうえで
(1)「3年に1歳」の引き上げペースは維持しつつ、支給開始を68歳に遅らせる
(2)ペースを「2年に1歳」に速め、支給開始も68歳とする--計画表も示した。
男女とも完全に68歳支給となるのは、(1)で34年度、(2)は27年度となる。
65歳支給の基礎年金も併せて68歳からの支給となり、
1歳の引き上げで基礎年金給付費は年に約1兆円縮小するという。
