宇宙飛行士の古川聡さん(47)は12年間、この日を待ち続けていた。


8日未明、カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地から、初めて宇宙へと旅立った。


エンジンの光が夜空に見えなくなり、少し遅れて


打ち上げ成功が伝えられ、拍手と歓声がわき起こった。


 古川さんの妻や息子、母親ら家族は、約1キロ離れた見学席にいた。


母の浩子さん(74)は「子どものころからの夢だった宇宙に旅立った姿をみて、


一緒にアポロ11号の月着陸を見て興奮した思い出がよみがえりました」


と遠い昔の事を語った。


 家族おそろいのTシャツには「あきらめない Keep smiling」の文字。


12年間、訓練に明け暮れた日々への思いと、東日本大震災の被災地への思いを込めたという。


 古川さんは東京オリンピックが開催された1964年、横浜市に生まれた。


 5歳時の69年7月、アポロ11号の月面着陸をテレビ中継で見ながら


天文学や宇宙工学に関心を持ったという。


 89年に東京大医学部を卒業し、10年間、外科医を務めた。勤務医となって9年目の


当直中、国際宇宙ステーション(ISS)で科学実験をするニュースを見て、


昔のあこがれがよみがえったという。


 09年にソユーズでISSに向かった野口聡一さん(46)も打ち上げを見守り、


「古川さん、やったね、という感じ。12年の苦労が報われた素晴らしい打ち上げだった」とコメントを残した。