畑村洋太郎東大名誉教授(70)は「失敗学」、つまり、何が間違っていたかを突き止める専門家として知られる。


その実績を買われ、福島第1原発危機の原因解明を託されたという。


24日、原発の事故原因を究明する第三者機関「事故調査・検証委員会」の委員長に指名された。


東電の清水正孝社長(4月22日)仙谷由人官房副長官は記者会見で、


同委が事故対応の調査のほか、日本の原子力行政の「歴史的経緯に踏み込まざるを得ない」と述べた。


与えられた任務はまさに畑村氏の得意とする分野にある。


同氏が運営する特定非営利活動法人「失敗学会」は、過去の失敗に学び、再発を防ぐ方法を研究している。


同氏はまた、科学技術振興機構のプロジェクトで構築した「失敗知識データベース」を公開している。


畑村氏はこれまで、日本企業が直面する大きな問題について、自らの間違いを認め、


小さな間違いが深刻な問題に発展する前に調査して重要な教訓を学ぶことだと指摘してきた。


同氏は失敗を、いい失敗と悪い失敗に分類している。


初めて課題に挑むのは必然的にいい失敗だ。


失敗を犯しそこから学ぶための初の試みであり、進歩に欠かせないという。


1940年に米ワシントン州で起きたタコマ橋崩壊もその例だという。


風が強い11月のある朝、幅の狭いこのつり橋は風を受けてねじれ、タコマ海峡に落下した。


畑村氏は、産業知識に貢献した最も重大な設計の失敗の一つだとしているという。