関東甲信越地方の病院で治療を受けていた10代前半の男の子が、12日朝、脳死と判定された。


15歳未満の子どもが脳死と判定されるのは国内で初めて、病院では、


このあと移植手術を行う施設の医師たちが臓器の摘出に向けた準備を進めることになる。


日本臓器移植ネットワークによると、脳死と判定されたのは10代前半の男の子で、


交通事故で頭に大けがをし、関東甲信越地方の病院に運ばれ治療を受けていた。


脳死の疑いがあると診断され、両親と兄弟が脳死段階での臓器の提供を承諾したという。


このため病院で、11日夕方から2回にわたり、脳波や呼吸の状態などについて


詳しく検査する脳死判定を行った結果、男の子は12日午前7時37分、脳死と判定され、死亡が確認された。


両親は「息子は、将来は世の役に立つ大きな仕事をしたいと周囲に言っていました。


親族も皆、臓器提供は彼らしい行動だと賛同してくれました。


身体の一部だけでも、どこかで生き続けていると考えると、


つらさや悲しみから少し救われるような気がしています」などと話しているという。


男の子からは、心臓・肺・肝臓・腎臓それにすい臓が提供される予定で、


病院では、このあと、移植手術を行う施設の医師たちが、臓器の摘出に向けた準備を進めることになる。


心臓については、子どもの心臓移植の機会を増やすという法改正の趣旨を反映し、


大阪大学附属病院で10代の男性に移植されるということです。


日本小児科学会会長で東京大学の五十嵐隆教授は


「日本人が海外に渡航して移植を受けることは受け入れ国で問題になっていたので、


子どもが国内で移植を受けられることになったという点で、非常に重要な一歩だと思う。


臓器提供を承諾した家族は、あとになって提供してよかったのか、後悔することがある。


家族の意思を生かすためにも、医師や心理の専門家が継続的に家族のケアを行うことが


必要だ」と話している。


一方、弁護士で脳死や臓器移植に詳しい光石忠敬さんは「改正臓器移植法は、


家族の承諾のみで臓器の提供を認めているが、


移植手術を待つ患者の役に立てばいいという考え方ではなく、


本人に提供の意思がなければ行われないよう自己決定権を守ることが重要で。


法律を見直す必要があると思う」と話している。