いわき市では東日本大震災で277人が犠牲になった。
スパリゾートの施設もガラスが破損するなど4億~5億円の被害が出て、休業している。
ゴールデンウィーク前の再開を目指したが、原発事故で見通しは立っていないという。
「風評被害は炭鉱閉山より深刻」と、同施設を運営する「常磐興産」の斎藤一彦社長(66)は話す。
市内の炭鉱住宅で育ち、いわき市の盛衰をずっと見てきたが、今回の原発事故は、
観光業だけでなく、農業や製造業にも大きな被害を及ぼす様相を見せている。
同社は1966年、石炭採掘時の副産物だった温泉を生かし、
フラダンスショーを盛り込んだレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」を炭鉱そばに開業した。
炭鉱作業員らの娘をダンサーとして育てて人気を集め、地元の危機を乗り越えた。
開業前、新人ダンサーのチームが宣伝のために全国を巡業。
その経緯は、映画「フラガール」(2006年)で描かれている。
再びフラガールに復興の象徴になってほしいと。斎藤社長は、
不便な生活を続ける被災者を励まし、原発事故の風評を振り払いたいと考え、
あの当時の全国巡業を復活させることにしたという。
復興の状況を見ながら、巡業を始める時期や訪れる場所を決める。なるべく広く巡りたいという。
