ガンと闘う医師 第一話
あれは10年ほど前のこと、看護婦をしている友人の紹介で、とある病院に勤務する医師のカウンセリングをすることになりました。
友人の話しを聞くと、その医師は30代の男性で、以前は明るく元気でな人だったそうです。
しかし最近元気がなく落ち込んでいることが多くなり、病院でお酒臭かったり、患者に対する態度にも問題があったりで、よくないうわさが流れて
いるようでした。
また、家庭でも奥さんと別居して一人暮らしをしていました。
きっかけは彼が友人の看護婦にかけてきた電話でした。
彼は酔っぱらって友人に電話をし、「俺は去年、患者を10人殺してしまった...」と言ったそうです。
友人は、彼が患者を助 けられないことで悩んでいることを知り、彼にカウンセラーをしている私のことを紹介しました。
彼と何度か電話で話を するうち、一度会おうということになったんです。
私はふと思いついて、彼に「アルバムを持って来ていただけませんか?
できるだけ子供の頃の写真があるものを」と頼みました。
そして数日後、彼はア ルバムを持って私のところへやってきました。
「どうしたらいいのでしょうね。もう全く解らなくなってしまいました」
という彼の表情は深刻でした。
「このままだとこの仕事を続けていくことができません」
彼は自分が置かれてい る状況について詳しく話してくれました。
仕事のこと、家庭のこと....
それは彼にとって『闘いの場』という感じでした。
つづく