恐らく、物理学にあまり触れていない方々にも、読みやすいのではないかと思います。
日常が謎々だらけなファンタジーな世界のお話でもあり、うら若き可愛いラブストーリーでもあります。そのなかで使われている、一見不思議な出来事は全て量子力学の世界観であり、非常に巧みに登場人物の心理描写も加えながら説明が平易になされています。
………さて。
タイトルにある言葉は、このストーリーにおけるキーワードでもあります。
ちなみに、三つの鍵を開けるには『スーパーポジション(重ね合わせの世界)』がヒントになってきます。
いま目に見える世界では、一つの状態しか読み取れません。が、中身を開けるまではどの状態か『可能性』としていくつかの事実が同時に存在するのが量子力学的世界。同じものの存在も認められます。
あらゆる粒子がもつれあい、絡み合い、存在として認識されています。が、ほんの少しの違いが全く違う結果や認識を産み出してしまいます。
そこで、『正しく問う』ことが何よりも大切だと言うのです。
問いかけを誤れば、意図した方向ではない答えが返ってきてしまいます。スーパーポジションが崩れるまでは、全ての可能性を秘めているからこそ、問いかけの的確さをこの上なく問われてしまいます。この本の中にある謎々たちも、それを教えてくれます。
いつもの思考の延長で良いのだろうか。
そんな気分も味わったのであります。
常識は常識。
守らなければ人でなし。ですが、常識を最良至高と言わんばかりに高尚そうに振りかざすのもいかがなものかと思うのです。
その常識が何処まで広く適用されるのかも疑わしいものです。
一杯の水がダイヤモンドより貴重な場所もあれば、ダイヤモンドで何杯もの水を容易に手に入れられる場所もあるように。それぞれの存在と値段は可能性だけど、あらゆる形が想定される(スーパーポジション)。どう決めるのかは観測して初めて分かること(スーパーポジションの崩壊)。我々が目に見えるのはどれか一つだけど、見ないうちは複数の状態が同時に存在するのです。
そこで生きていくのに必要な常識はあるけれど、本当に転換を図るのであれば、その常識を変えるか超えるかをしなければならないのです。
だからといって、全てドラスティックに変えろと言っても無茶な話。
昨今、時流が速くなったといっても、根本的に覆すのであれば相当な年月がかかります。
いつもとちがうこと………一つからで十分なのです。変える必要のないことまでやることはないのです。
些細なことから、面白いとか気になったところからまずはやれば良いと思います。
ミドリカワもはっきり言って、早起きと掃除が頗る下手でした。いまでも達人どころかまだ見習いレベルですが(笑)。
仕事による生活パターンの変化や環境の変化で、持ち物や空間を見直すことを余儀なくされて、やらざるを得なくなったともいえます。
そこで『今までより一時間早く起きて毎日何処かを掃除する』と決めて枕元に貼って実行したのです。
一ヶ所やりだすと、他も気になる→他のところもやりだす→少しずつ効率があがる→要らないものが見えてくるから捨てまくる………それで日を重ねてようやく苦にならなくなりだしたというくらい。
しかし、不思議なくらい気持ちはスッキリするのと、欲しい情報がスムーズに入りやすくなるというのを昨日のメンテナンスで確信したのです。
メンテナンス中でのお話然別、この本の内容然別。ほかにも気づけばこまごまとあります。
『ちがうこと』のつもりで続けて習慣化されていくと、自分のなかの常識も変わっていく。そのなかでどんな認識をして、また新しい『ちがうこと』を見いだして………そんなサイクルを意識していくうちに気づけば変わっているのを実感できるまでになった、それがいまの理想だったりします。
可能性は無限にあります。
が、そのスーパーポジションを崩してどんな現実を選ぶかは自分自身で選んだ前提条件によるのだとやっと体感できたような気がします。