『J2の3位昇格クラブがJ1で通じない』
こんなジンクスをお聞きになったことあるだろう。
確かに09年J2 3位で昇格した湘南、10年J2 3位で昇格した福岡に次いで、11年J2 3位札幌は史上最速で降格決定。J1の壁に阻まれ3年連続1年でJ2に逆戻りさせられたのが自動昇格以後の3位の実状。
では08年以前のJ2 3位はいかがなものか?
それを調べよう。

勝ち点率=各クラブ年間勝ち点÷シーズン年間最多勝ち点(年間試合数×勝ち点3)

99大分
99年3位・勝ち点率58.3%
00年3位・勝ち点率67.5%(J2)
変動数値・+9.2%

00大分
00年3位・勝ち点率67.5%
01年6位・勝ち点率59.1%(J2)
変動数値・-8.4%

01山形
01年3位・勝ち点率60.6%
02年11位・勝ち点率26.5%(J2)
変動数値・-34.1%

02新潟
02年3位・勝ち点率62.1%
03年1位・勝ち点率66.7%(J2)
変動数値・+4.6%

03川崎
03年3位・勝ち点率64.4%
04年1位・勝ち点率79.5%(J2)
変動数値・+15.1%

04福岡
04年3位・勝ち点率57.6%
05年2位・勝ち点率59.1%(J2)
変動数値・+1.5%

05甲府
05年3位・勝ち点率52.3%
06年15位・勝ち点率41.2%(J1)
変動数値・-11.1%

06神戸
06年3位・勝ち点率59.7%
07年10位・勝ち点率46.1%(J1)
変動数値・-13.6%

07京都
07年3位・勝ち点率59.7%
08年14位・勝ち点率40.2%(J1)
変動数値・-19.5%

08仙台
08年3位・勝ち点率55.5%
09年1位・勝ち点率69.3%(J2)
変動数値・+13.8%

09湘南
09年3位・勝ち点率64.1%
10年18位・勝ち点率15.7%(J1)
変動数値・-48.4%

10福岡
10年3位・勝ち点率63.9%
11年17位・勝ち点率21.6%(J1)
変動数値・-42.3%

11札幌
11年3位・勝ち点率59.6%
12年18位・勝ち点率13.7%(J1)
変動数値・-45.9%

12大分
12年6位・勝ち点率56.3%
13年??位・勝ち点率??.?%(J1)
変動数値・+-?.?%




まとめてみよう。
☆:優勝 △:昇格 ▽:降格
J2→J2
03川崎・+15.1%☆
08仙台・+13.8%☆
99大分・+9.2%
02新潟・+4.6%☆
04福岡・+1.5%△
00大分・-8.4%
01山形・-34.1%
2クラブ昇格時代(99年~03年まで)の3位は逆境を乗り越え2クラブが翌年優勝、上げ率は低いが04福岡も2位以内確保、08仙台優勝と悔しさをバネにした昇格が多い。特に08仙台、04福岡は入れ替え戦敗退の無念を晴らしての昇格である。

J2→J1
05甲府・-11.1%
06神戸・-13.6%
07京都・-19.5%
10福岡・-42.3%▽
11札幌・-45.9%▽
09湘南・-48.4%▽
『J2の3位昇格クラブがJ1で通じない』
これは一理ある。優勝昇格クラブで初めてJ1を制覇した11柏がこのマイナス数値を覆してしまうがまぁたいていの昇格クラブは当たり前にJ2より苦戦する。苦戦によりマイナス幅も拡がるものだが入れ替え戦を制して昇格したクラブが降格していないことも大いに関係する。ハングリーというか粘りというのか、精神的にも逞しくそして強くなるようだ。プレーオフにより史上初めて6位クラブがJ1に挑む。成績的にも11札幌と大差ない12大分だがこれで目も当てられないワーストずくめのシーズンにならんことを願うばかり。
09湘南、10福岡ときて11札幌。3位がこうなのに6位大分、3位京都もたぶんJ1は苦戦しただろうがそれ以上の苦戦必至は目に見える。

興行的な要素が強いプレーオフだが2回勝てば6位でさえ年間勝ち点率差があろうがなかろうがJ1に行けてしまう(ライセンスを有していればだが)。行くのは喜ばしいが3位クラブでこの散々な結果。
大分が資金的に恵まれるクラブであるわけなく上がって下がってを繰り返すリスクは京都、札幌を見れば一目瞭然。まして来期、新興勢力の不安定なクラブ、ヴェルディも含むのは当たり前だが上がるリスクはかなり高い(10年、20年とJ1にいれればいいが3年、5年とスパンが短いと信用度はがた落ち。まして1年で落ちるとスポンサー離れは必至)

無責任なプレーオフ制度がどう転ぶのか、正直不安でしかない。

J1 順位表 第20節(08/10更新)
順位 チーム名・勝ち点率・最多勝ち点(予想勝ち点)
勝点(勝/引/負/得失)試合数
1 広島・70.0%・84(71.400)
42(13/3/4/19)20
2 横浜FM・68.3%・83(69.666)
41(12/5/3/15)20
3 浦和・61.7%・79(62.934)
37(11/4/5/12)20
4 大宮・60.0%・78(61.200)
36(11/3/6/9)20
5 C大阪・55.0%・75(56.100)
33(9/6/5/11)20
6 鹿島・53.3%・74(54.366)
32(9/5/6/1)20
7 FC東京・51.7%・73(52.734)
31(9/4/7/12)20
8 仙台・51.7%・73(52.734)
31(8/7/5/1)20
9 名古屋・50.0%・72(51.000)
30(9/3/8/2)20
10 川崎・48.3%・71(49.266)
29(8/5/7/4)20
11 柏・48.3%・71(49.266)
29(8/5/7/-5)20
12 新潟・45.0%・69(45.900)
27(8/3/9/-2)20
13 清水・43.3%・68(44.166)
26(7/5/8/-7)20
14 甲府・30.0%・60(30.600)
18(4/6/10/-13)20
15 鳥栖・28.3%・59(28.866)
17(4/5/11/-15)20
16 湘南・28.3%・58(28.866)
16(4/4/12/-19)20
17 磐田・21.7%・55(22.134)
13(2/7/11/-8)20
18 大分・15.0%・51(15.300)
9(1/6/13/-17)20

大分の惨状はJ1の未来を物語る。J2で6位クラブはJ1で通ずるのかという世間一般の期待を見事に裏切っている。大分がJ1に挑むくらいならまだ3位だった京都のほうが可能性は高かったかもしれない。京都が1年持たずならそれまでだがプレーオフの意義が問われる。
J2のモチベを維持したい意図はわかるが大分のようなチームを産み続けるといずれは破産するだろう。だいたいたかがプレーオフ2勝で6位がJ1に行けるシステムを変えてほしい。せめて5位vs6位(A)、4位vs(A)の勝者(B)、3位vs(B)の勝者とかでいいだろう。それで6位が勝ち抜いたらタフだ。アドバンテージもなく2勝でJ1行けるシステムは即刻見直すべし。