2013年3月3日、ヴェルディの開幕戦はvs福岡。先発した11人のうち新加入は4人、いや5人いた。そのうちの1人のDFは正確な肩書きは『復帰』、ピッチに立つ背番号6は緑のユニフォームで初めてホームゲームを体感。
福井諒司、実に3年ぶりのヴェルディ『復帰』ゲームであった。

ヴェルディの若手の大半は片道キップを持たされて武者修行に出される。福井もそれに違いないが北九州に貸し出されたあと幸運なことに柏に完全移籍というシンデレラストーリーを歩む。そこで大成を果たせば福井にとってさらなる成長だったが世の中そんなに甘くはない。福井が次に選んだ道は恩師を慕い古巣に復帰するという出戻りであった。
恩師とはいえ確約されたポジションはない、福井にとっては冷遇された2010シーズンのルーキーイヤーとは違う、成長した福井を我々にアピールしてもらいたい。


さて、ヴェルディには数多の選手が在籍、チームを離れた選手が数年後に復帰するのは決して珍しくもない。代表的なのが森やバウル、スガといったルーキー時代をヴェルディで過ごした選手が30代となり復帰するパターン。『旬』な時期を他クラブで過ごしてしまったのは残念だが晩年の熟練ぶりで即戦力として有り難い限り。
もう一度ヴェルディで、そう決意してくれる選手が今後も増えるよう、チームはもっともっと強くなり魅力的なサッカーをしないと。


▽1年以上ヴェルディに在籍せず復帰した選手のリーグ戦における最終出場~復帰出場記録

▽2013シーズン在籍選手
飯尾 一慶
2004年11月28日2nd第15節vs横浜FM
2006年3月4日J2第1節vs徳島
復帰まで約1年4ヶ月

森 勇介
2000年6月24日2nd第1節vsG大阪
2011年4月24日J2第8節vs愛媛
復帰まで約10年10ヶ月

福井 諒司
2010年3月14日J2第2節vs熊本
2013年3月3日J2第1節vs福岡
復帰まで約3年0ヶ月



▽退団選手
柴崎 晃誠
2010年12月4日J2第38節vs水戸
2012年8月5日J2第27節vs富山
復帰まで約1年8ヶ月

土屋 征夫
1998年11月14日2nd第17節vs柏
2007年3月4日J2第1節vs草津
復帰まで約8年4ヶ月

柴崎 貴広
2002年4月6日1st第5節vs京都
2010年3月14日J2第2節vs熊本
復帰まで約7年11ヶ月

菅原 智
1998年11月14日2nd第17節vs柏
2006年3月4日J2第1節vs徳島
復帰まで約7年4ヶ月

弦巻 健人
2005年10月29日第29節vs横浜FM
2009年8月9日J2第33節vs札幌
復帰まで約3年10ヶ月

富澤 清太郎
2004年11月28日2nd第15節vs横浜FM
2006年7月12日J2第27節vs仙台
復帰まで約1年8ヶ月

一柳夢吾
2003年11月8日2nd第12節vs浦和
2006年7月8日J2第26節vs鳥栖
復帰まで約2年8ヶ月

永井秀樹
1994年11月19日2nd第22節vs平塚
1997年4月12日1st第1節vs市原
復帰まで約2年5ヶ月

1997年10月4日2nd第17節vs京都
2001年3月10日1st第1節vsFC東京
復帰まで約3年5ヶ月

2002年11月30日2nd第15節vs仙台
2006年3月4日J2第1節vs徳島
復帰まで約3年4ヶ月



▽復帰までのブランク期間ランキング(対象が2006年以後に在籍した選手からとするためそれ以前は含んでいない)
森 勇介・約10年10ヶ月
土屋 征夫・約8年4ヶ月
柴崎 貴広・約7年11ヶ月
菅原 智・約7年4ヶ月
弦巻 健人・約3年10ヶ月
永井 秀樹・約3年5ヶ月(2回目)
永井 秀樹・約3年4ヶ月(3回目)
福井 諒司・約3年0ヶ月
一柳 夢吾・約2年8ヶ月
永井 秀樹・約2年5ヶ月(1回目)
富澤 清太郎・約1年8ヶ月
柴崎 晃誠・約1年8ヶ月
飯尾 一慶・約1年4ヶ月
ポジション柄なかなかチャンスには恵まれない柴崎はともかくFPに関してはチャンスはあるもの。それを生かせずにチームを離れた選手が必要とされて戻ってくるのに5年以上かかれば選手も5歳、年を重ねる。
スパンは短いほうがそりゃ選手の『旬』である。晩年に『旬』がくる稀有な選手もいるが20代の伸び盛りの時期に復帰する選手があまりに少ないのがヴェルディのなかなか治らない悪癖か。

▽社長は3回復帰。
ヴェルディ川崎黄金時代を知る数少ない生え抜きの永井秀樹、調べたら復帰スパンは約3年、2007年を最後にチームを離れた永井社長。この期間で合わせて8シーズンはチームを離れていた選手であり1993~2007年で7シーズンしか在籍していない。2008年以降はFC琉球でプレーしており42歳を迎える2013シーズンも現役。どこかでまた復帰してくれないかなんて淡い期待を持つ。2013シーズンでさえ約6年ぶりの復帰となるがさすがにそれはないな。

▽対象外となった松本の大黒柱。
これに含まなかった例としては喜山康平。彼は2006年にヴェルディで出場歴がある。その後レンタルでたらい回しに遭い契約満了、完全移籍で2009年岡山に。その岡山からレンタルで古巣ヴェルディに2011年に戻った稀有なパターン。ただし出場がなかったため『復帰』というこのデータの概念には満たしていない。松本で古巣ヴェルディ戦にかける気持ちを見せていた、勝ったあと号泣した喜山、あの涙にはこの悔しさも一理あったのではないかと考える。
なお一樹は2007年のレンタルでは半年で復帰したため対象外だが2012年以降レンタルで放出中、2013シーズンでも復帰なんてあれば対象となる。まぁあの件が時効を迎えるわけないからたぶん復帰はないか。

▽2013シーズンの対象選手。
菜入、木鈴に関してはヴェルディ出場歴がないため対象外。福井が約3年ぶりの復帰を果たした。

▽新記録を打ち立てる人物といえば…?
普通、古巣クラブに10年ぶりに復帰するってなかなかない。現役で森の記録を上回るのは森より前にヴェルディにいた人物で現役。98年以前の在籍選手となると、そう…King KAZUしかないっす(笑)