98年シーズン前のサカダイの記事が手元にある。注目の新人欄にデカデカと写真と名前が載るのは浦和の新人・小野伸二。ほか高原直泰や中田浩二など。その中の小さな記事にこうある。
「93年からみてみると、攻撃的MF、守備的MF、GK、DF、FWとポジション的には一巡した感がある新人王。果たして順番は元に戻るのか。それともSBか。元に戻るとすれば、筆頭はやはり小野だ。」
93年以降97年までの新人王は以下の通り
93澤登正明(清水)
94田坂和昭(平塚)
95川口能活(横浜M)
96斉藤俊秀(清水)
97柳沢敦(鹿島)

ときは98年、ピンと来る方もいるだろう。SBとしてW杯のメンバー候補となり北澤、カズとともに落選した高校生SBがいたことを。
市川大祐である。残念ながら文中通り98年は小野に新人王が与えられた。しかしまだJリーグ開幕前のタイミングで予言とはいえ市川の到来を予見していたとしたらこの記者は凄い人だ(なお市川に新人賞すら与えられていない)

98小野伸二(浦和)
記事通り一巡したため続くは守備的MFかと思うとそう簡単にはいかない。J1、J2となり新たな時代に突入した99年以降の新人王
99中澤佑二(V川崎)
00森崎和幸(広島)
01山瀬功治(札幌)
02坪井慶介(浦和)
03那須大亮(横浜FM)
04森本貴幸(東京V)
05カレンロバート(磐田)
06藤本淳吾(清水)
07菅野孝憲(横浜FC)
08小川佳純(名古屋)
09渡邉千真(横浜FM)
10宇佐美貴史(G大阪)
11酒井宏樹(柏)
酒井はベストヤングプレーヤー賞つう有り難みに欠ける賞を受賞。野球もだが新人王だからこそ権威が感じられその年のルーキーで一番活躍したとわかる。大卒を対象外にしたからとはいえ、何がベストヤングプレーヤーなんだ?ヤングの規定はなんだ?

さてDF、MF、MF、DF、MF、FW、FW、MF、GK、MF、FW、MF、DFとかつての法則は見られなくなった。だが08年に有力だった長友の選出がなかったことにより、新人賞は現れど生粋のSBと言える選手が18年間で1度も生まれなかった。それが酒井の選出により19年目にして初のSB新人王が生まれた。

酒井が挑まねばならないジンクスがある。99年までの新人王はいずれも受賞前後はあれど日本代表経験を有するということ。これは11年現在で(候補経験は除き出場歴)森崎、那須、カレン、菅野、小川、渡邉、宇佐美を除く11人が成し遂げている。

これまであまり表に出てないが(新人王が顔になる)新人賞には
94城彰二、藤田俊哉、山口敏弘
95林健太郎、森島寛晃
96大柴健二、望月重吉
97中村俊輔、萩村滋則
98南雄太、高原直泰
99本山雅志、高橋泰
00我那覇和樹、松井大輔
01坂本將貴、大久保嘉人
02宮沢正史、小林大悟
03深井正樹、永田充
04岩政大樹、梶山陽平
05前田和哉、西川周作
06内田篤人、中村北斗
07小宮山尊信、新居辰基
08長友佑都、原一樹
09米本拓司、岡崎慎司
10以降発表なし


当時の活躍度合いをうろ覚えとはいえ、森崎の影に松井がいたり山瀬の影に大久保など。古くは、元ヴェルディ勢もいるが萩村が新人賞とは知らなかった(笑)
今後は大卒、22歳以上が対象外となるらしいがU-21で活躍する選手って限りなく少ないんじゃないか?


MVPを見てみる。☆は年間優勝クラブ。
93三浦知良(☆V川崎)
94ペレイラ(☆V川崎)
95ストイコビッチ(名古屋)
96ジョルジーニョ(☆鹿島)
97ドゥンガ(☆磐田)
98中山雅史(磐田)
99アレックス(清水)
00中村俊輔(横浜FM)
01藤田俊哉(磐田)
02高原直泰(☆磐田)
03エメルソン(浦和)
04中澤佑二(☆横浜FM)
05アラウージョ(☆G大阪)
06田中マルクス闘莉王(☆浦和)
07ポンテ(浦和)
08マルキーニョス(☆鹿島)
09小笠原満男(☆鹿島)
10楢崎正剛(☆名古屋)
11レアンドロ ドミンゲス(☆柏)
これまでMVPは19人中優勝クラブから12人、年間優勝していないクラブからは7人が選ばれている。
クラブ別
磐田…4人
浦和…3人
鹿島…3人
横浜FM…2人
V川崎…2人
名古屋…2人
清水…1人
G大阪…1人
柏…1人

ポジション別
FW・6人
MF・9人
DF・3人
GK・1人
19年間で複数の受賞はいない、そしてポジション別にするとGKの受賞はなかったが楢崎は史上初の受賞。なおピクシーやポンテなど時折FW登録になるいわゆるSTの選手はすべてMF扱いとしている。GKやDFが選出される場合、当然数字であからさまに見えやすい前線のポジションのほうが選出されやすい傾向にあるため、いかに得点王も含め前のポジションで際立った選手がいないか、皮肉ったMVPだと思う。
優勝クラブから選ばなければならないわけではないが個人で際立った選手が優勝クラブ以外に見当たらないのも事実か。


Best11は以下の通り。

GK
『6』楢崎正剛
『2』菊池新吉
『1』
松永成立
大神友明
真田雅則
高桑大二朗
ヴァン・ズワム
曽ヶ端準
土肥洋一
吉田宗弘
川口能活
都築龍太
川島永嗣

GK部門では海外移籍していた能活が06年まで受賞なし。楢崎はライバル不在が続いたが2年連続の受賞。楢崎と新吉以外複数受賞はない。
代表からは退いたものの名古屋では健在、まだまだ楢崎の時代は続く。

DF
『8』田中マルクス闘莉王
『5』
井原正巳
中澤佑二
『4』
相馬直樹
秋田豊
『3』
山口智
岩政大樹
『2』
ブッフバルト
ペレイラ
松田直樹
ドゥトラ
田中誠
内田篤人
『1』
大野俊三
堀池巧
柱谷哲二
名塚善寛
鈴木正治
斉藤俊秀
森岡隆三
洪明甫
名良橋晃
大岩剛
鈴木秀人
坪井慶介
ストヤノフ
加地亮
長友佑都
増川隆洋
槙野智章
近藤直也
酒井宏樹
最多は闘莉王8回。哲さんは93年のみDF受賞。1回のみと3回の受賞者は代表でいまひとつ成果を残してない気が…。
新人王とダブル受賞の酒井、優勝に貢献した近藤と文句はないが闘莉王もまた時代は続くか。

MF
『8』遠藤保仁
『6』小笠原満男
『5』中村憲剛
『4』
名波浩
福西崇史
『3』
ビスマルク
奥大介
藤田俊哉
阿部勇樹
『2』
柱谷哲二
ラモス瑠偉
山口素弘
ドゥンガ
中村俊輔
鈴木啓太
藤本淳吾
『1』
森島寛晃
本田泰人
サントス
北澤豪
ベッチーニョ
ジョルジーニョ
前園真聖
中田英寿
小野伸二
アレックス
伊東輝悦
澤登正朗
明神智和
稲本潤一
中田浩二
服部年宏
長谷部誠
フェルナンジーニョ
古橋達弥
谷口博之
ポンテ
小川佳純
石川直宏
マルシオ リシャルデス
ダニルソン
ジョルジ ワグネル
レアンドロ ドミンゲス
清武弘嗣
MF部門は9年連続で全体を通しても最多となった9回目の遠藤。哲さんは前述の通り、モリシはFWで受賞したため。ほとんど海外行っちゃうもんだからバラエティーな名前です…。
藤本は2年連続2回目、初選出3人と柏初優勝の余波は大きい。清武は意外か。


FW
『4』中山雅史
『3』
三浦知良
ストイコビッチ
柳沢敦
『2』
エメルソン
前田遼一
ケネディ
『1』
ディアス
武田修宏
高木琢也
福田正博
森島寛晃
岡野雅行
エムボマ
黄善洪
ツゥット
西澤明訓
ウィル
久保竜彦
ウェズレイ
マルケス
大黒将志
アラウージョ
佐藤寿人
ワシントン
マグノアウベス
ジュニーニョ
バレー
高原直泰
マルキーニョス
岡崎慎司
ハーフナー マイク


2枠あるいは4枠まであるFW部門で複数受賞はわずか7人。まして近年の日本代表FWは海外移籍がネックとはいえリーグ個人賞がない。得点王自体いないから当然か。若手たちよ、ゴン、カズ、ピクシー、ヤナギに追い付け追い越せ。複数受賞はケネディが果たした。
マイクが海外移籍も視野に。前田もG大阪とか。結果を出してなんぼの世界、移籍しても変わらぬ結果を出さないとなるまい。