移籍…

辞書検索しますと
・籍を他へ移すこと
・スポーツ選手が所属団体を変わること

06年の開幕前のヴェルディには誌面でこんなフレーズを良く聞きました。
『ヴェルディは過去に例が無い主力の放出だ…』って

主力の定義なんざありません。
主力を辞書検索すると
中心になる戦力

じゃあ戦力とは?
戦うための力

まんまね。
つまり主力とは『中心となる戦うための力』
ようするに定義は皆無。

シーズン序盤からずっと出続けてたら主力なのか?
具体的に何割出たらか?
補強されて終盤に活躍した選手は主力じゃないのか?

これらを統一するため、勝手ながら全試合数の7割と規定を作ります。

つまり全34試合の98年、05~08年シーズンならば単純計算で23.8試合。小数点以下をカットし23試合以上出場した選手を主力とします。(なお99~04シーズンは30試合中21試合以上とする)

ではヴェルディの05年主力を見てみよう。
なお途中入団選手は登録からの出場可能試合数の7割(小数点以下カット)とする。

2MF山田卓也33試合
4MF林健太郎30試合
5DF米山篤志23試合1得点
6MF戸田和幸23試合
7DF相馬崇人28試合
8MF小林大悟32試合3得点
9FWワシントン33試合22得点
10FWジウ16試合2得点(残16試合)
11FW平本一樹26試合6得点
21GK高木義成33試合
22MF平野孝27試合
32MF小林慶行26試合2得点

主力12人中主力を10人放出したことにより
主力中主力放出率は83.3%となる。比較するまでもなくとんでもない数値であるのは分かりやすい。
ジウは残り16試合で登録、そのため11試合出場の条件に満たしています。以下そのような選手が多々含まれています。5試合なら3試合以上とか15試合なら10試合以上と、やや7割に満たないまでも加入からすぐに活躍(出場)したのは事実ですので。
なおシーズン中に解雇されたり移籍した選手は規定に満たない限り主力には含みません。

比較しなければならないのが98年の降格クラブ札幌から09年の降格クラブ柏&大分そして千葉までの24クラブに加え、10年に降格したFC東京、京都、湘南については11年3月時点の主力動向を基づき編集するため現在は仮数値となります。以上これら27クラブを同様に算出しました。



では98年以降の降格クラブを見てみる。
98年34試合・規定23試合以上
札幌(初)
ディド、田渕、梶野、後藤、バルデス、マラドーナ、深川、吉原、棚田、埜下、関
11人中4名(ディド、後藤義一、バルデス、マラドーナ)
36.4%


99年30試合・規定21試合以上
平塚(初)
外池、堀、松川、ヒューズ、高田哲、川口、小松原、
7人中4名(レイバット、外池大亮、松川友明、ヒューズ)
57.1%
浦和(初)
山田、福田、田北、石井、永井、中村、路木、ピクン
8人中1名(中村忠)
12.5%


00年30試合・規定21試合以上
川崎(初)
浦上、奥野、鬼木、久野、原田、イジドーロ、リカルジーニョ
7人中3名(奥野僚右、イジドーロ、原田武男)
42.9%
京都(初)
野口、中村、大嶽、エジーニョ、望月、ヘジス、KAZU、朴、遠藤、手島、松井、平野
12人中6名(エジーニョ、望月重良、ヘジス、KAZU、遠藤保仁、平野孝)
50.0%


01年30試合・規定21試合以上
C大阪(初)
斎藤、田坂、尹、ワグネル、森島、大柴、マルセロ、鈴木、布部、岡山、真中、室井
12人中4名(ワグネル、マルセロ、岡山一成、室井市衞)
33.3%
福岡(初)
小島光、三浦、野田、バデア、中払、前田、山下、久永、服部、内藤、廬
10人中6名(三浦泰年、バデア、中払大介、前田浩二、山下芳輝、久永辰徳)
60.0%


02年30試合・規定21試合以上
札幌(2度目)
佐藤洋、今野、大森、ビジュ、森下、小倉、曽田、和波、西田、佐藤尽
10人中3名(ジャディウソン、ビジュ、小倉隆史)
30.0%
広島(初)
下田、沢田、駒野、トゥーリオ、森崎浩、森崎和、久保、藤本、服部、ビロング、エルツェッグ
11人中5名(トゥーリオ、久保竜彦、藤本主税、ビロング、エルツェッグ)
45.5%


03年30試合・規定21試合以上
仙台(初)
ファビアーノ、シルビーニョ、金、佐藤、山下、岩本、石井、根本、望月、福田
10人中7名(ファビアーノ、金殷中、山下芳輝、岩本輝雄、根本裕一、望月重良、福田健二)
70.0%
京都(2度目)
平井、手島、石丸、鈴木慎、安藤、黒部、松井、中払、斉藤、冨田、角田、ビジュ
12人中3名(鈴木慎吾、角田誠、安藤正裕)
25.0%


05年34試合・規定23試合以上
神戸(初)
北本、マルティン、朴、佐伯、イヴォ、ホルヴィ、三浦淳、遠藤
8人中3名(佐伯直哉、イヴォ、マルティン)
37.5%
柏(初)
南、波戸、明神、レイナウド、クレーベル、土屋、平山、玉田
8人中6名(波戸康広、土屋征夫、明神智和、レイナウド、クレーベル、玉田圭司)
75.0%
※05ヴェルディは冒頭に記載済み故省略


06年34試合・規定23試合以上
京都(3度目)
児玉、パウリーニョ、中払、斉藤、林、手島、角田
7人中3名(児玉新、林丈統、角田誠)
42.9%
C大阪(2度目)
ブルーノ、前田、ゼ、森島寛、古橋、名波、柿本、西澤、吉田、下村、大久保
11人中6名(ブルーノ・クアドロス、名波浩、柿本倫明、西澤明訓、下村東美、大久保嘉人)
54.5%
福岡(2度目)
水谷、アレックス、千代反田、ホベルト、薮田、久藤、佐伯、中村、城後、飯尾
10人中6名(水谷雄一、千代反田充、ホベルト、薮田光教、佐伯直哉、飯尾一慶)
60.0%


07年34試合・規定23試合以上
横浜FC(初)
菅野、早川、和田、マルコスパウロ、内田、滝澤、根占、山田、三浦淳、カズ、平本、カタタウ
12人中6名(菅野孝憲、和田拓三、マルコスパウロ、内田智也、平本一樹、カタタウ)
50.0%
甲府(初)
秋本、山本、井上、増嶋、杉山、石原、藤田、林、茂原、須藤
10人中3名(増嶋竜也、茂原岳人、須藤大輔)
30.0%
広島(2度目)
下田、ストヤノフ、森崎和、戸田、駒野、青山、森崎浩、服部、柏木、ウェズレイ、佐藤
12人中2名(駒野友一、ウェズレイ)
16.7%


08年34試合・規定23試合以上
札幌(3回目)
坪内、砂川、クライトン、芳賀、西、ダヴィ、アンデルソン
7人中3名(坪内秀介、ダヴィ、アンデルソン)
42.9%
東京V(2回目)
土肥、那須、菅原、ディエゴ、富澤、飯尾、土屋、服部、福西、平本、大黒
11人中3名(那須大亮、ディエゴ、福西崇史)
27.3%


09年34試合・規定23試合以上
千葉(初)
岡本、ボスナー、青木、坂本、下村、工藤、谷澤、太田、深井、新居、巻、ネット
12人中3名(ボスナー、下村東美、新居辰基)
25.0%
大分(初)
西川、森重、上本、藤田、菊地、エジミウソン、金崎、家長、高橋、東、清武、フェルナンジーニョ
12人中9名(西川周作、森重真人、上本大海、エジミウソン、金崎夢生、家長昭博、高橋大輔、清武弘嗣、フェルナンジーニョ)
75.0%
柏(2回目)
菅野、パク、小林祐、ポポ、菅沼、大津、栗澤、フランサ
8人中1名(ポポ)
12.5%


10年34試合・規定23試合以上
湘南(2回目)
臼井、村松、島村、寺川、坂本、中村、田原、阿部
8人中4名(村松大輔、島村毅、寺川能人、阿部吉朗)
50.0%
京都(4回目)
水本、カク、森下、渡邉、増嶋、角田、ドゥトラ、ディエゴ、中山、安藤、中村、柳沢
12人中5名(水本裕貴、渡邉大剛、増嶋竜也、角田誠、柳沢敦)
41.7%
FC東京(初)
権田、徳永、森重、今野、キム、椋原、梶山、中村、石川、羽生、平山、リカルジーニョ、大黒
13人中3名(キム ヨングン、リカルジーニョ、大黒将志)
23.1%


主力放出ランキング
1東京V・83.3%(05・初)
2柏・75.0%(05・初)
2大分・75.0%(09・初)
4仙台・70.0%(03・初)
5福岡・60.0%(01・初)
5福岡・60.0%(06・2度目)
7平塚・57.1%(99・初)
8C大阪・54.5%(06・2度目)
9京都・50.0%(00・初)
9横浜FC・50.0%(08・初)
11広島・45.5%(02・初)
12川崎・42.9%(00・初)
12京都・42.9%(06・3度目)
12札幌・42.9%(08・3度目)
15神戸・37.5%(05・初)
16札幌・36.4%(98・初)
17C大阪・33.3%(01・初)
18札幌・30.0%(02・2度目)
18甲府・30.0%(07・初)
20東京V・27.3%(08・2度目)
21京都・25.0%(03・2度目)
21千葉・25.0%(09・初)
22広島・16.7%(07・2度目)
23浦和・12.5%(99・初)
23柏・12.5%(09・2度目)

傾向として2度目の降格は例外もあるが初めての降格より主力放出率は低い。09柏もそれを実証し歴代最低放出率の浦和に並んだ。誠意を見せて慰留すれば2度目の主力流出は多少抑えれることはヴェルディも具現している。(ただ1度は土肥、服部を放出したんだけど…)
3度目ともなると、4割越えとなるようにエレベータークラブは主力固定はさすがに難しい。まして今回4度目、水本を始め連日の放出は痛手以外の何物でもないだろう。
主力規定に満たす選手数が少ないがために06年京都が比較的高い率になっているが主力放出数自体は3人であり角田は結果的に07年は復帰している。

また規定に満たない選手でも実力的には主力級というべき選手が多かった05柏は規定未満の矢野、大野、永田などを手放したことを踏まえると柏の数字は参考にはならないかもしれない。
過去2回とも6割の主力を手放した福岡、大久保や西澤など2度目にしてビッグネームを手放したC大阪はJ2に腰を据えてしまったのが現状。
09大分に負けず劣らず資金難により戦力維持どころじゃなかった平塚、横浜FC。最初の降格によりカズや遠藤ら実力者を放出した00年京都。
以上に加えワースト1の05ヴェルディが5割以上の主力を失っている。09大分のようなケースも今後増えて不思議はない。ただそれでいて皮肉にも未だにディフィンディングチャンピオンは死守した05ヴェルディ。今回の3クラブで匹敵するクラブは見当たらない…




05ヴェルディの主力流出は断トツである。降格クラブには資金だけじゃなく選手の愛着なども多いに関わるのを実感する。また起用法なども大きく監督の解任などで主力規定にも響いてる。戦い方が定まらないのだから主力が固定されない、主力が固定しないと主力選手数が少ない、こういうチームほど主力が移籍すると率が上がるのがこのランキングである。


83.3%。09大分がこれを上回ることはなかった。
他はどうあれヴェルディの不名誉な83.3%は消えない過去。2度とこの大離散は繰り返してはいけないのだ。

10FC東京も当初は大離散が噂されたがさすがにこれを上回ることはない。4度目の京都も5割以上は考えにくい。となればやはりヴェルディの不名誉な記録はまだ健在になりそうだ…