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TAC・斎藤博明社長=資格需要の高まり追い風

2008年12月 9日(火) 18時0分

 公認会計士講座でトップシェアの「資格の学校」TAC <4319 > は、08年9月中間期連結営業利益を計画比86.5%増の11億6400万円(期初計画6億2400万円)に増額修正をした。新卒者内定取り消し、リストラなど雇用不安を耳にする中、簿記・会計を中心に受講生を増やし続ける同社の現状を斎藤博明社長に聞いた。

 ――足元の事業環境について。
 斎藤社長 08年3月期に引き続き、簿記・公認会計士を含めた会計系資格の受験者数は増え続けている。11月18日に公認会計士試験の合格発表が行われたが、3024人の合格者を出し、07年に引き続き過去最高となった。09年は短答式試験が年2回実施されるので、対応した講座を開発して受講生を取り込んでいく。
 また、就職状況が悪化すると大学生の資格取得需要が高まる。07年の日吉、立川に続き、08年は早稲田に拠点を立ち上げ、慶応、早稲田などの大学生が通いやすい環境を整えた。八重洲、新宿校には社会人が多く通学している。上期は講師増員で人件費が前年同期比6.4%上昇しているが、教室系講座の売上高は同2.7%増加しており、この調子で受講生が増えていけば利益率は改善していく。

 ――法人研修事業が伸びていると聞くが。
 斎藤社長 企業研修の需要が依然強く、04年3月期から4期連続増収増益で、今上期は売上高23億5900万円(前年同期比8.2%増)、営業利益8億600万円(同7.6%増)だった。通期で見ても増収増益を維持できよう。

 ――今後の事業展開について。
 斎藤社長 会計系資格以外にも、景気悪化を受けて公務員志望の大学生が増加しており、同講座が絶好調だ。ほかにも中小企業診断士やCIA(公認内部監査人)、米国公認会計士なども好調だ。しかし、税理士講座の出足が悪い。公認会計士に移動しているのか分析している最中だ。税理士試験合格発表後から09年1月にかけての申し込み状況を注視している。
 通期でも計画通りに進ちょくしている。税理士講座の立ち直りがあれば、増額修正もあり得る。10年3月期もこの基調は変わらず、むしろ強くなっていくとみている。受講生を受け入れる体制は整えてあるので、見通しは明るい。

 ――投資家にメッセージを。
 斎藤社長 当社は安定成長のビジネスモデルだが、株主の皆様には、配当や自己株買いでしっかり還元をしたい。中間期で1円増配の9円(通期では17円)としており現状の株価(350円)で配当利回りは5%弱ある。税理士講座の結果次第ではさらに期末の増配も考えている。

[ 株式新聞速報ニュース/KABDAS-EXPRESS ]
提供:モーニングスター社

含み益になったので、下で買った分は少し売っておいたけど来年あたりまでは大丈夫そうか。会計士が来年再び就職難になるのはほぼ確実なので、そうなったらどうなるかがリスク。