高校を出て歯科衛生士の専門学校に進み、
国家試験もクリアして、
歯科衛生士で歯科医院に勤務。

学校という狭い社会から放たれ、
いろいろな男性と会う機会が増えたが、
私の心の中では、依然として「先輩」が大きなウェイトを占めていた。

「いつかまた、会えるかもしれない」

そんな気持ちで日々を過ごしてたし、
どこに行っても、誰と会っても「先輩」と比べてしまうのだ。

お付き合いした男性もいたけれど、
好きで付き合ってたが、
「今ここで、先輩と再会したら、私は絶対目の前のこの人よりも、先輩を選ぶ」
そんな気持ちでいた。

20代も半ばになり、
周りの友達は、彼氏との結婚を考えてる。
結婚が決まったの。
そんな話を聞くと、
私も「30までに結婚したいなぁ…」
と、思うようになる。

そこで、大きな気持ちの問題が起こった。
「先輩より好きになれる男の人でないと、私は結婚できない」

これが、大変な作業だった。
私の心の中では、高校の時で止まってしまってるので、
何をどう頑張っても、目の前の男性のいいところが見えない。

どんなにいい人でも、私の中では【この人を、先輩より好きになれるかどうか】が基準になってた。

30歳目の前にして、
主人と結婚した。
ようやく【先輩を越える人】とのご縁だった。

16歳から30歳までの、約15年にも及ぶ、長い長い「先輩」という呪縛から、
やっと解放されたのだ。

ただ、【真の解放】は、それからまた15年ほど後になる。

こう書くと、我ながら「ストーカー気質満載だな〜」と、今は笑っていられるが、
当時の私は、真剣にこんな状態だった。