ただ、私は先輩に振られた理由は分からなかった。
今になっては、「あれじゃ〜振られて当然だわ」と思うが、
高校生の私には、振られた理由が分からなかった。

その日、私は部屋で泣いた。
泣いて泣いて、ずっと泣いてた。

翌朝、家族には、平然とした姿しか見せなかった。
振られたことは、家族には絶対に知られたくなかった。

涙を我慢して家を出て、
クラスの仲良しグループの顔を見たら、
「おはよう」も言えずに、私は涙がボロボロと出た。
友達は、みんなビックリしてた。

友達は、私が先輩に片思いしてたことを知ってたし、
付き合うことになったと話したら、みんな喜んでくれた。
私が、先輩と楽しく幸せに過ごしているんだと思ってた。

でも、朝突然、私がボロボロと泣いている。
「どうしたの?」
「昨日、先輩に別れ話をされた…」

友達は「どうして?」「なんで?」「先輩酷い!」と騒いでた。

でも、その日、私は結構笑ってた。
友達と一緒にいるのが、楽しかったのだ。

しばらくしてから、友達はカラオケにも連れてってくれた。

後から聞いた話だが、
私があまりにも泣いて落ち込んでいるので、
仲良しグループのみんなが
「みみぞうちゃんが、早く元気になれるように、私らは、沢山笑わせてあげよう。私らに出来るのは、それくらいしかないからね。」
と、言ってたらしい。

また、私がいない時、偶然グループの子らが先輩とすれ違ったのだが、
すれ違い様に
「アイツやで、振ったの…」
と言って、全員で睨み付けたらしい。
これに関しては、先輩もいい迷惑だったと思いますが…

この時は、本当にみんなの存在がありがたかったし、
みんなの気持ちが、すごく嬉しかった。


先輩とは、部活で顔を合わすのだが、
それからは、一言も話すことなく…だった。

学年が上がり、3年生になった先輩は、
県大会で好成績を収め、
ブロック大会へ出ることとなった。
このブロック大会も、先輩の最後の試合となるので、応援に行きたかった。
だが、このブロック大会は、泊まりで行かなければいけない。
親の同意書がいる。
親は、同意書を絶対に書いてくれなかった。
応援で行くなんて、時間の無駄。
そんな時間があるなら、勉強しろ!…と。

ブロック大会に出る先輩を、「あぁ、先輩は遠い存在になってしまったな…」と思い、最後の試合の応援にも行けず、
そして、先輩は部活を引退した。

そうして、学年が違うし校舎も違うので、
顔を合わすことがなくなった。

先輩と喧嘩をしたこともなく、
いつも優しかった先輩。
どちらかが浮気をしたとかでもなく、
先輩は大阪の大学を希望してたから、遠距離恋愛もお互い覚悟してた。
自分の精神状態がおかしくなってたことに気がついてなかった私は、
なぜ先輩が別れを決めたのか、理由が分からなかった。

理由が分かれば、この後の私の人生に大きな影響を与えずに済んだのかもしれないが、
この「理由が分からない」ことが、後々私の恋愛観を大きく変えてしまうこととなるのです。


先輩の卒業式、スーツ姿(私服の高校でしたので)を見たのを最後に、先輩とは会うこともなく、これで本当にご縁がなくなった。
それから約15年後、あるお店で偶然先輩と会ったのだが…