私と先輩は、「普通の高校生の、普通の恋愛」をしてただけだ。

一緒に部活をして、
一緒に帰って、
夜に電話でお喋りして、
休みの日には、一緒に遊びに行って…

でも、親はそれを一切許さなかった。

潰しにかかってきた。

毎日のように、私が家に帰ると説教をした。

部活は辞めろ、
一緒に帰るなど、みっともない真似をするな、
電話は使うな、
勉強が最優先だろ、
遊びになど行くな、

毎日毎日、説教をした。

自分の部屋にいても、部屋まで来て説教をした。

毎日毎日、説教をされてる私を見て、
きょうだい達は、私を避けるようになった。

それでも私は、先輩にすがりついた。
モテない私を、好きになってくれたから。
親に愛されてる感がなかったので、唯一私を好きになってくれた先輩を、大切にしたかったから。

先輩にすがりつけばすがるほど、
親は執拗に私を責め立てた。
毎日毎日、執拗に私を責め立て、家での居場所がなくなった。

次第に、私は精神がおかしくなった。
普通の精神状態ではいられなくなった。

自分の姿を見れば、怒鳴りつける彼女の親、
異様に制限をかける、異常な彼女の親、
そして、精神的におかしくなっていく彼女。

先輩も「こんなはずじゃなかった」と、思ってたと思う。
先輩も、いろいろ悩み、傷ついたと思う。

元旦に「一緒に初詣に行こう」と約束したが、
親は「元旦は、家族一緒にいる日だろう!断れ!」と激怒し、また執拗に私を責め立てた。

仕方なく、1月3日に日にちを変えたが、
1月3日、私は本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

その日も、先輩は優しかった。

そして、その日を境に、先輩からの連絡がなくなった。


冬休みが終わり、学校が始まった。
私は、友達と一緒に歩いてた時、
偶然にも、剣道部の3年生の先輩と出くわした。
(私=1年生、彼氏先輩=2年生)

「おっ!●◎(私)!お前ら、まだ別れてへんの?」
と、3年生先輩。

この瞬間、私は「あ…終わったんだ…」と、確信した。
先輩と、この3年生の先輩は仲がいいから、
先輩は、いろいろ相談してたのだろう。

別れ話をされるのも、時間の問題だ。
もう、近々別れ話をされるのだろう。

腹を括った。

そして、先輩から電話がかかってきた。
私は、別れ話の電話だ…と、大きく深呼吸をし、電話に出た。

「元の、先輩と後輩の関係に戻ろう」

「うん…分かった、そうだね…」

と、言うしかなかった。