ナザールボンジュウ 1 拝啓 | アダルトチルドレン時々日記

アダルトチルドレン時々日記

機能不全の家族の中で育ち、その後遺症を人生上に色濃く残し、一般常識とまともな生活を知らず、悲観的なことを言いつつ能天気な性格でふらふら気ままに流転の人生を送っております。魂の病気と共存し狂気と正気を往ったり来たりする日常を徒然なるままに書き綴ります。

拝啓 ご主人様


お元気でいらっしゃいますでしょうか?

深夜の雨が上がり、湿気の中に、これから明け方になって太陽が昇るとすべてが渇くであろう
予言にも似た自然界の変化の兆しを感じた時、貴方の記憶が立ち上がりました。
潤いの中に見た渇きが、私の中に蘇って参りました。

アダルトチルドレン時々日記
私が「二度と私の前に姿を現さないで」と言い、一方的に電話を切ってから
1年以上経ったある日、貴方は一度だけ私の携帯に着信を残しましたね。 
私の電話番号を捨てていなかったのですね。

貴方はきっと 「気まぐれだよ」 と言うのでしょう。
その気まぐれを連れて来たものはなんだったのでしょうか?
御眼鏡にかなう愛奴に出会えませんでしたか? 

ご主人様・・・あれから、10年近く経つのですね。
今ではすっかり、私を支配出来る様な気骨のある男に出会えなくなりました。
もう私をやり込める事の出来る男なんて現れないのでしょう。

甘えられて、胸に抱いて・・・相変わらず、ママ役や女王様役ばかりでございます。
支配に渇くことなど、すっかり忘れてしまいました。
縄の跡も、鞭の痛みも、ローソクの熱さも、時とともに風化して
記憶というものが残るだけとなりました。

ご主人様・・・私はすっかり強くなってしまいました。
貴方にすべてをまかせて依存していた頃が懐かしいです。
もう、そんな私に戻ることはございませんが、私の中には貴方から与えられた
支配への飢えが残っているように思います。

もう満たされることのない欲望をどこかに封印しながら
私はまだ都会の片隅で、孤独な男どもの、寂しい心の穴を埋めるお手伝いをしております。

ご主人様・・・お元気でいらっしゃいますでしょうか?
今の私は、あの頃の貴方の目にはどう映るのでしょう?

いつかどこかで、あの時の貴方と同じ様な心の穴を持った人と出逢った時
私はまだその穴を埋めるお手伝いが出来るのでしょうか?


変わり果てた私に、出来るのでしょうか?





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