お元気でいらっしゃいますでしょうか?
深夜の雨が上がり、湿気の中に、これから明け方になって太陽が昇るとすべてが渇くであろう
予言にも似た自然界の変化の兆しを感じた時、貴方の記憶が立ち上がりました。
潤いの中に見た渇きが、私の中に蘇って参りました。
私が「二度と私の前に姿を現さないで」と言い、一方的に電話を切ってから
1年以上経ったある日、貴方は一度だけ私の携帯に着信を残しましたね。
私の電話番号を捨てていなかったのですね。
貴方はきっと 「気まぐれだよ」 と言うのでしょう。
その気まぐれを連れて来たものはなんだったのでしょうか?
御眼鏡にかなう愛奴に出会えませんでしたか?
ご主人様・・・あれから、10年近く経つのですね。
今ではすっかり、私を支配出来る様な気骨のある男に出会えなくなりました。
もう私をやり込める事の出来る男なんて現れないのでしょう。
甘えられて、胸に抱いて・・・相変わらず、ママ役や女王様役ばかりでございます。
支配に渇くことなど、すっかり忘れてしまいました。
縄の跡も、鞭の痛みも、ローソクの熱さも、時とともに風化して
記憶というものが残るだけとなりました。
ご主人様・・・私はすっかり強くなってしまいました。
貴方にすべてをまかせて依存していた頃が懐かしいです。
もう、そんな私に戻ることはございませんが、私の中には貴方から与えられた
支配への飢えが残っているように思います。
もう満たされることのない欲望をどこかに封印しながら
私はまだ都会の片隅で、孤独な男どもの、寂しい心の穴を埋めるお手伝いをしております。
ご主人様・・・お元気でいらっしゃいますでしょうか?
今の私は、あの頃の貴方の目にはどう映るのでしょう?
いつかどこかで、あの時の貴方と同じ様な心の穴を持った人と出逢った時
私はまだその穴を埋めるお手伝いが出来るのでしょうか?
変わり果てた私に、出来るのでしょうか?
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