こうなる前に、私は何度となく年上の男友達に相談していた。
彼は地元でヤクザになった友人に私の事を聞いてくれた。 ヤクザの友人から返ってきた返事は
「パワーゲームになるから手出しは出来ない。もし自分が間に入って話をまとめたとしても、そんなに
ドラッグが好きな子だったら、逃げてもまたその男のところに戻るだろう。残念だけど、俺は何も出来ない」
という返事だったらしい。
・・・そうだよな・・・・・誰だってそう思うだろう。
実際、私はコ〇インをはじめ、ドラッグを切らせたことなどなかった。
ヤクザからしょっちゅうスカウトが来ていた博徒の弟にも相談した。
「お前・・・ヤバイよ。相手は人殺しだよ。逃げたって追いかけられるぞ・・。先ずはここに来るだろうな・・・
見つかった時にどうなるか分からないぞ」
「じゃあ、あんたは素直に結婚しろっての?殺されたらどうすんのよ」
「1人殺したら、もうヤラねーよ。お前殺してもヤクザの出世にはならないだろ~が・・・」
「バ~カ、1人殺せば2人も3人も一緒だよ。アイツはキチガイだよ。これからどんどんコ〇インで
頭がおかしくなるに決まってんじゃん」
「・・・じゃあ、どこに逃げんだよ・・・・・」
「だからあんたにどこがいいか聞いてるんでしょ~」
「オレ・・・知らね~よ」
「お前・・・・・冷たい弟だなぁ」
脱走先に行き詰っていた。 どうせ、私の考えるところなんてたかが知れている。
絶対、結婚なんかしたくない・・・・・・・
10代の頃に働いていた飲み屋に遊び人のお姉様が3人いた。よくクラブに連れて行ってもらったりして
可愛がってもらっていた。 彼女たちは黒人にしか興味を示さず、夜な夜などこかのクラブやベースに
出向いては、疾風の様に男を引っ掛け、喰い散らかしていた。 一人の男に定まる事はなく、彼氏が
出来たとしても、次々に他の男も味見しては捨てていく、精力旺盛な狩人たちだった。
日焼けした黒い肌にヒョウ柄やド派手な色の服をまとい、濃い化粧を顔に乗せていた。
クラブの外に人が大勢ならんで入場を待っている金曜日の夜。いつも彼女たちは顔パス。
並んでいる日本人の男の横を通りながら 「日本人の男なんて、入って来るんじゃねーよ!」 と言いながら
私の手をひいていつもクラブの中に連れて行ってくれた。
漢字もろくに読めず、皺のあまりなさそうなきれいな脳ミソを容易に想像させてくれるが、英語だけは達者で
図体の大きないかにも悪い事をして島流しの代わりに日本に向かう船に乗せられて来たような黒人と
対等に喧嘩をしていた。 腹の据わり方と、英語の達者さで、黒人男遊びの歴史を感じさせられた。
世間から見ればとんでもない女というレッテルを貼られるのだろうが、情の厚い昔堅気の女たちで
私は「ネーチャン」と呼んで慕っていたし、彼女たちは世間をまるで知らずに年だけとっていく私を
可愛がってくれた。 私の事情を知っていて、アイツと面識もある一番年上のネーチャンに今回の話を
相談した。
「なに~?アイツお前と結婚とか言い始めたの? お前がアイツの事、好きだったらいいと思うけど・・・
クスリやってる男は苦労するよ。 私の男も昔、ポン中だったからねぇ~。そいつは日本人だったけど・・・」
「うん・・・アイツ、だんだんひどくなってるし、私、別にもともと好きじゃなかったから・・・」
「お前が好きなのは男が持ってるクスリだからね~。アッハッハー! じゃあ、逃げないとね」
「見つからないところないかなぁ?」
「あたしも今、実家かから逃げててさ~。昔の日本人の男もしつこいし、誰だか覚えてないけどしつこい
ブラザー(黒人のこと)もしょっちゅう電話かけてきて・・・お母さん怒っちゃって出てけって言われてさ」
「で、ネーチャン今どこにいるんスか?」
「友達が一軒家借りてるから、そこの1部屋借りてんの。あんたそこ来ればいいじゃん!
私の部屋に来なよ。ダブルベッドだから2人で寝れるし。そこならお前の男も探せないでしょ。友達は
私なんかよりBitch(ビッチ)でヤクザとかも恐くないタイプだから。紹介するから、一度話してごらん!」
ランキングご協力お願いします! ←しつこいですがこちらも・・・