組長にはお気に入りの愛人が2人いた。モデルのユウさんと、もう1人は韓国クラブのホステスだった。
私はこの2人から気に入られ、組長が愛人たちと会う時、彼女たちから呼び出される事があった。
韓国クラブの愛人が服を買いに行く時、ユウさんがお酒を飲む時、私は度々呼び出された。
アイツは大喜びだった。 オレのオンナまで組長に気に入られている・・・と。
そして、他の組員の女房連中が嫉妬していると・・・。 ・・・・・そんなの・・・知るもんか!
私は媚びているわけじゃない・・・。 ただ、人として敬意を表しながら接しているだけだ。
それぞれの愛人はやはり魅力的だった。 愛を注がれる女性というのは魅力的だった。
だから素直に敬意を表して接していただけだ。 それ以上でもそれ以下でもなかった。
いつぞや、組長の誕生日だったか、いや・・・奥様の誕生日だったのかな・・・よく覚えてないが、
組長宅をを訪れたことがあった。
高級住宅街に位置する豪邸は、玄関に至るまでの間にいくつものカメラが設置されていた。
カメラの数と、周辺を警護する若い衆の数で、悪事と恨みの数々が計れそうだ。
組長宅の周辺には豪華な高級車の数々。 誰かを不幸にした結果、悪魔からの恩恵の様なものだろう。
アイツの車だってそうだろう。
私が毎日手にしている生活費だって・・・誰かの涙が作ったものかも知れない。
そんな事は考えないようにしている。 本当は、誰かを犠牲にして生きていく生き方なんかしたくない。
でも、今の私はこんなである・・・。 だからコ〇インで脳を痺れさせ、余計な事を考えなくさせている。
考えたら・・・まっ先に私がこの世から消えた方がよくなるに違いないんだから。
煌びやかな調度品とそれに似つかわしくない組員に迎えられ、屋敷内にお邪魔した。
磨き抜かれた床、塵一つなくきれいに掃除された部屋は神経質な組長の内面を表しているのだろうか
それとも組員の掃除という修行の賜物だろうか・・・。
組長の奥様の周りには他の幹部連中の奥方が取り囲んでお相手をしている。
新参者の私は一斉に品定めされた様な視線を注がれ、疎外感を感じた。
上等だよ・・・お前らの中になんて入りたくない。 奥様に挨拶をして、そこから離れるように座った。
着席したところから目に入る豪華な調度品を見物させていただき時間を潰していた。
やはり・・・金を手にした連中が持つ物はすごい。
一生かけても自分では持てないような家具だらけだ。
そんなものに一時でも触れることが出来ることを良しとして、その退屈な時間を過ごした。
何を食べたのか、何を飲んだのかも覚えていないほど退屈な時間だった。
私は売名行為は好きではないし、誰かに取り入って出世しようとも思わない。
女房連中が一生懸命奥様をヨイショしてる光景が・・・哀れに思えて仕方なかった。
お前ら・・・生きてて面白いのかよ・・・・・・
私は死に近づいてるからいいけど、お前らは生きてるんだろ? それで面白いのかい?
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