「私は良いお母さんになれない!」と思い込んでいた私ですが
いつまでもお腹の子をしまっておける訳にもいかず出産する。

36才高齢初産で最初から用心して帝王切開となる。
当時の私には回りに帝王切開の経験者がなく唯一母だけだった。
なんだか芸能人の気分で痛くなくて良いと思っていたので
看護婦さんの「痛いのが後か先かの違いだけよ」の言葉が飲み込めなかった。

そして手術後の麻酔がさめてから!この言葉を噛み締めた。
メスを入れたのは初めてで入院も初めてだった。
初夏のベッドに母が付き添ってくれた。

痛みにウナサレながら赤ちゃんは?と母に尋ねると
「お父さん似で髪がふさふさして七三に分けてもらってたよ。」

赤ちゃんって髪は少なかった気がするけど?
どんな子かな?

なんと!私は5日間も赤ちゃんに会えずにいた。
5日目に婦長さんがお祝いに病室に来て私が
「赤ちゃんにはいつ会えますか?」
婦長さんが慌てて連れて来てくれた。

私の回復が遅かったのもあって赤ちゃんとの対面が忘れられていた。
私は夢うつつの中で赤ちゃんってすぐに会えないのかな?
帝王切開だから?とわが子の顔がわからずボヤーとした霧の中にいた。

意識がハッキリして会えたわが子は本当にお父さんそっくりで思わず吹き出した。
母が言う通りに髪は真っ黒でふさふさしてる。
でも夫の方は私の父にそっくりと言う。
何れにしてもナカナカしっかりしたユニークな顔立ちだ。

この子は
私の赤ちゃんアルアルをかなり気持ちよく裏切ってくれた。

親友5人がお祝いに来てくれた。
ベビーベッドの娘を囲んで覗き込んでた5人。
お決まりの「かわゆい~!」が無い!

「すごい!この子!さっきから天井見つめたままで!
ビクッともせんと!眉間にシワ寄せて!流石!花さんの娘!」
「お見事やわ!」5人がハモった。

ナンチュウこと?その年でいらん存在感やわ!
無難に可愛くまとめて欲しいんですけど?

それでも自分の子って不思議!こんなに可愛いものかな?
見つめても見つめても飽きない。

もしも何処かの
頭が良くて性格も良くて素直で可愛くて天使のような女の子と
交換しましょうと言われても断固お断りします。

夫が言う通りにこの子は「奇跡の子」なのです。

二度あることは三度あると申しますがこの子は四度目の正直で生まれた子です。
そう私の三度の想像妊娠の果てに授かりました。 

「赤ちゃんいるみたい!」「でかした!でかした!」喜び勇んで出社する彼。
帰宅すると「違ってた」天国から地獄へジェットコースター!を三度も経験した彼のお言葉です。

またこの子は「えせらい子」とも!
昔の人は「もらい子をすると本当に子が生まれる」と言って生まれてきた子をえせらい子と呼んだそうです。
「えせらう」とは嫉妬するといった意味の方言です。

オマケに「えせらう」と言ってもわが家は犬と猫を飼い始めて生まれた子です。

最初に妊娠が確信出来たのは

会社の健康診断でレントゲンがあることで私は悩んでいました。
産婦人科に行くべきか?行かざるべきか?
どうせまた想像妊娠なんだから?まさか?
さんざん迷って行ったのが今までの大病院でなくて
女医さんの産婦人科でした。

尿検査で妊娠反応が出た!と聞いても半信半疑?
明日エコー検査で確認しましょうと言われても半信半疑?

どうせ明日になったら影も形もなく何も映らないよ!

夫には内緒でした。
四度目はあり得ないので心臓に悪いですから。

エコー検査で小さい小さい生命を目にした時は感動するよりも不思議でした。

帰宅した夫に話すと一瞬!騙されないぞ!と気構えたのですが。
本当?と私と同じく半信半疑!でも突然!
ヤッター!デカシター!と雄叫びをあげて飛び飛びしてました。

かくしてウチの子は奇跡の子なのです。