3匹の仔猫の威嚇に鳴りを潜めていた
風ちゃんですが
そのままで終われるタマ?では無い!

仔猫の単独行動に狙いを定めタイマンはる!
椅子の上から待ち伏せして下を通り過ぎる
瞬間にシャット襲いかかる!

ソファーの下に追い詰めて逃げようとするのを
あらゆる角度から攻撃する!

1匹づつ血祭りにあげようと言うのか?

ワザとらしく私!登場。

途端に。何もなかった様に私に甘える。
ブラック風ちゃんは何処に?

ちょっとトウが立ってるが
エンジェルスマイルでスリスリ。

娘が
ママは極悪人?を
1年半もかけて連れて帰って!
猫を見る目が無い!

風ちゃんに関しては反論の余地なし!

あの広い駐車場で猫好きさんのマドンナで
お客さんや従業員さんからの貢ぎ物で
優雅に暮らしていた。

私はモチロンだが誰に対しても
貴方だけが頼りです。って
身についた身のこなしで 甘える。

当時は私が知る限りでも
野良犬が7匹は居た。
首輪をしてリードを付けたままの子も。

猫は風ちゃんの相棒の
陸ちゃんと名付けた男の子。
風ちゃんの執事の様に寄り添ってた。

他に3匹は見かけた。

野良にとって食料は正に命の糧。
明日もあるとは限らない。

食べ残しに野良犬が近付くと
血相を変えて風ちゃんが飛んできて
犬を追っ払う!
何倍も大きい犬が逃げていく。

痩せこけてお腹をすかせた新顔の猫に
風ちゃんから離れた所で隠れるように
あげても?
風ちゃんが飛んできて追っ払う。

そうして1年半生きていた。
春に秋に大型スーパーの何処かで3回出産。

最初の出産後は
真っ黒な男の子を1匹だけ連れて現れた。
おそらくパパは陸ちゃんと思う。

陸ちゃんはフンワリした毛並みのハチワレさん。
シャイでいつも何処かに隠れてて
風ちゃんが営業担当で確保した食料を
人が居なくなってから食べ始める。

空ちゃんと名付けた男の子の教育係。
イクメンである。

2回目の出産後2匹の仔猫を連れていた。
白猫の女の子の夢ちゃんと
トラ猫の男の子海ちゃん。

空ちゃんはパパに似てシャイで
同じように行動していた。

そして3回目の出産後に
陸ちゃんの姿が見えなくなった。
交通事故か?

私は生後3ヶ月頃の風ちゃんと出逢った。
お盆過ぎだった。
三毛の華奢で儚げな女の子だった。

出逢った時は3匹居た。
兄弟なのか?同じ時期に捨てられたのか?
陸ちゃんともう1匹キジトラの子。

実はキジトラちゃんが始まりだった。
買い物をしてクルマに乗ろうとすると
クルマの下から現れてミャーミャー鳴く。
ちょうど猫まんま買っていたのであげる。

当時は仕事帰りに毎日のように買い物して
いろんな所に駐車していたが
この子がいつもクルマの下で待っている。

でも1週間くらいすると現れなくなった。
人懐っこい子だったので保護されたのかな?
でも気にかかり休日に早い時間に
駐車場に行ってみた。そして2匹に出逢う。

最初の幼い頃から陸ちゃんは遠くで見てて
風ちゃんは寄ってきて甘えた。
植え込みの多い自然に恵まれた駐車場だったので
木陰に隠す様に猫まんまを置いてクルマで
離れて見ていると
陸ちゃんも一緒に食べている。

その日から毎日。
私はこの駐車場に1年半通いつめる事となる。

風ちゃんはこの大型商業施設の立体駐車場まで
駆使して屋上で子育てをしていた。
おそらく人間が気付かない隠れ家で
出産したのだろう?

陸ちゃんと力を合わせて家庭を築いていた。

私は出産前までに2回
風ちゃんだけ自宅に連れて帰った。

でもクルマから降ろそうとした時の
か細い哀願する様な鳴き声を聞き
風ちゃん?まだなんだね?陸ちゃんと一緒にね?

引き返して灯りの消えた駐車場に降ろした。
風ちゃんは闇の中に消えて行った。

陸ちゃんは無理だろう。また2匹を引き離すのも。
風ちゃんは諦めないと!此処があの子の居場所なんだ。

当時の私には
Trap→捕獲
Neuter→不妊手術
Return→戻す
TNRの知識もなく
動物愛護ボランテイアの存在も知らなかった。

今なら捕獲箱を借りてでも陸ちゃんを保護できた。
そして空ちゃんも。
3回目に出産した6匹の仔猫も。

私は2回目の夢ちゃんと海ちゃんの2匹は保護したが
最終的に風ちゃんの命を優先して
空ちゃんを置きざりにした。

その後1ヶ月通ったが空ちゃんを連れて帰れず
姿を現さず食べた形跡も無くなった。

心残りだった。

陸ちゃんが居なくなってから
パパの代わりに仔猫の世話をして
風ちゃんを支えていた。

風ちゃんを連れて帰った時期は転換期?

それまでの
おおらかな野良に対する対応が変化して
保健所の捕獲箱が置かれ
警備員さんの見回りが野良を追い出す動きになり
餌やりも注意されるようになった。

きっかけはニュースになった県外の同じ店の不祥事。

屋上から飛び降りた遺体が
店のレストラン街の飲料水のタンクに落ちて
点検の時期まで気付かれなかった痛ましい事件だ。

全国的に衛生面で厳しい指導がなされて
野良犬も野良猫ももっての他となる。

敷地内の点検が厳しさをましていた。

風ちゃん一家にとっても厳しい冬だった。

ある日。突然!仔猫6匹が一緒に姿を消した!

捜して歩く風ちゃんと空ちゃん。
1週間たっても仔猫を呼びながら捜す風ちゃんを
クルマから降りてきた女性がブーツで蹴りあげた!
汚い!アッチへ行け!

クルマの中で見守っていた私は衝撃だった。
駆け寄るとアスファルトに倒れた風ちゃんは
眼光に力なく痩せ衰えて細くなった腹部は
おっぱいが張って寒さで板の様に固くなっていた。
もう限界だった。

ずっといつ連れて帰るか迷っていたが?
今だ!

その夜は私と一緒に眠る。
風ちゃんの体は冷えきっていた。

翌朝一番に病院へ連れていく。

わが家での風ちゃんの生活がスタートする。