生粋のNY子だったギャッビー(ティモシー・シャラメ)は口うるさい母親から離れる為に、大学はアリゾナの大学を選択。学内で地元娘のアシュレ―(エル・ファニング)という恋人もできまずまず満足な日常。アシュレ―は大学の課題で大物映画監督ポラードをインタビューする事に。ギャッビーは母親の誕生パーティーに呼ばれていたが顏を出す気は更々なかった。でもNYデートは悪くないと考えアシュレ―に同行しNYに向かう事に。インタビュー中は別行動する二人…。

 

 ウディ・アレン48本目の監督作品は、アレンのホームグラウンドであるNYを舞台にしたロマンチックコメディ。NYでデートをする予定だった大学生カップルが、様々な事が起こってなかなかデートが出来ずに深夜まで過ごす事になる…というストーリー。17年に主演した『君の名前で僕を呼んで』で一挙注目を浴びる事になったティモシー・シャルメ、姉ダコタと天才子役姉妹として売り出したエル・ファニング、人気歌手&女優のセレーナ・ゴメス、ジュード・ロウなどの出演。何の問題もなく撮影は終わったがアレンのセクハラ疑惑が蒸し返されて出演者から総スカンを浴び、NYを舞台にしながら米国では公開されず、製作会社とのトラブルにも発展。

 

 一時間でインタビューは終わりランチデートするはずだった二人だが、ポラードから新作の試写に誘われたから遅らせて欲しいとアシュレ―からの連絡が。渋々了承したギャッピーがNYの街を散策していると旧友が映画撮影しており、エキストラ出演する事に。相手役は高校時代付き合っていたコの妹チャン(セレーナ・ゴメス)。ズケズケ物を言うチャンに呆れるギャッビーだが、芝居上といえ熱いキスを交わし妙な気持ちに。一方アシュレ―は新作の出来に絶望し試写室を飛び出していったポラードを探す為、脚本家のダヴィドフとポラードと行動を共にする事に。その途中ダヴィドフが妻の浮気現場を目撃した事で、デートの予定は更に先送り…。

 

 デートしたいのになかなか出来ないギャッピーの苛々の間、アシュレ―共々予想もつかなかった事態に。昔ガキンチョだった女のコの成長した姿に動揺するギャッビーを差し置き、トントン拍子で大スターと一夜を共にするピンチ(チャンス?)に遭遇するアシュレ―。可愛いけど野暮ったい田舎娘を好演するエル・ファニング嬢♡。ギャッビーにとって散々な一日になったと思いきや、それが不仲だった母親の意外な秘密を知って和解する事に繋がり、探しあぐねていた自分のあるべき姿(そして新たな恋?)を見つけるきっかけになったから、却っていい一昼夜と言えるのかも。相変わらずブラックジョーク満載な台詞も快調、ウエルメイドな快作だったが。

 

作品評価★★★★

(愛すべき作品なのに、エルちゃんや『それでも恋するバルセロナ』のレベッカ・ホールなどが「この作品に出るべきではなかった」と公言しているのが哀しい。ただラストシーンには、アレンのNY愛と共に彼自身の女性の趣味も滲み出ている気がするのは、俺だけであろうか)

 

 付録コラム~大谷結婚とか、そんなの関係ねえ~

 昨日のニュース番組やワイドショーなど、朝から晩まで大谷翔平の結婚の話題で持ちきりであった。最近は不快なニューズばかりが続いたから、こういうハッピー系のニュースに飛びつきたくなる気持ちは判らんでもないが、判で押した様にコメンテーターやインタビュー受けた一般人が「おめでとうございます」の連呼なのは、観ていて飽きる。まるで天皇の成婚レベルの大騒ぎ。一人ぐらいは「興味無し。他にもっと重要な事があるだろう」的な発言をする人がいていいと思うのに…って、そんなコメントは「KY」とされ、言ったとしてもインタビューとしてはカットされちゃうのね。うっかり生放送での発言だと大炎上喰らって、誰かさんみたいにTV界から追放されかねない。

 おめでとうと言ってる人は、羽生結弦の「90日離婚」を忘れたのかと言いたくもなる。勿体ぶって「一般人」と結婚しました宣言したと思ったら、その舌の根も乾かぬ内に「こうなったのはお前らマスコミのせいだからな」と言わんばかりの離婚発表。そこにあったのは自分の保身ばかりで、実は一般人とは言い難かった「元妻」への労わりは正直微塵も感じられなかった。

 更には1992年から翌93年1月にかけての、大関昇進を控えた貴乃花と宮沢りえの婚約~解消騒動。マスコミによって「非の打ちどころのない人間」に仕立てられていた貴乃花だが、まだ若かったとはいえ、そのコメントの語彙力の無さには呆れた。婚約したのは「好きだから」。解消したのは「僕の愛情がなくなったから」。あまりにも素っ気ない発言で、所詮おままごとの恋愛だったんだな…と言わざるを得ない。現在の貴乃花の天然キャラは非の打ちどころか、突っ込み入れたくなる感満杯になっちゃっている。

 この二人の騒動で俺は国民的スポーツヒーローのプライヴェート問題にはうんざりしたというか、もう好き勝手に結婚など離婚などすればいい、俺には「そんなの関係ねえ~(by小島よしお)」と思う様になった。勿論大谷が件の二人みたいな、恋に関しては「愚か者」だと言ってる訳では全然ないが、野球やらせれば天才児でも恋愛方面での実績?は不明だし、先の事はよう判らん。本心からおめでたいと思っているなら、マスコミもあれこれ詮索するのはもうよした方がいい。

 俺にとっては国民的スポーツヒーローの結婚より「広末と鳥羽シェフの今後」の方が重要問題だ。長年在籍したプロダクションから独立した広末が、女優として映画界に第一線の女優として復帰できるか否かには、この問題の成り行きにかかっている部分も大きいはずだから。