来るべき『WWE』年一番のビッグマッチ『レッスル・マニア』の前哨戦とも言える2月24日のPPV『エリミネーション・チェンバー』の無料配信(ABEMA格闘チャンネル)を観戦した。生中継は午後7時からと聞いていたので、それに合わせてPCを起こしたのだが、その前のWWE女子タッグ戦から中継は始まっていた? チャンピオンの『カブキ・ウォリアーズ』ことASUCA&カイリ・セイン組が、地元選手が出場した挑戦者チームに勝利。完全アウェーで大ブーイングを浴びたそうだが、ヒールチームにとっては勲章みたいな物。是非観たかったな。

 ちなみにオーストラリアに移動する前にASUKAは日本に立ち寄った様で、その際に名古屋のプロレスバーを突然訪れるドッキリ企画を自身のYOU TUBEチャンネルに挙げていた。素顔のいい人ぶりをアピール?

 エリミネーション・チェンバー戦の舞台となったオーストラリアの会場は屋外の野球場みたいなスタジアムで、選手の気勢を促すべく夜空に大花火を何度も打ち上げての大騒ぎ。52000人強も動員したというから、この間の『新日本プロレス』東京ドーム大会の動員(27000人強)とは勝負にならなかった。やっぱりWWEは規模が違う。この試合を観る限りセクハラ問題で会長が引退を余儀なくされるスキャンダルも特に影響はないみたいだ。英語圏ではない日本でWWEのビッグショーを観る事は、残念ながら絶望的?

 生中継では計4試合が行われたが、結果的には番狂わせはなかった。呼び物のイリミネーションマッチはミニバトルロイヤル形式の試合で最初一対一で闘い、時間をずらしてリングの4コーナーの小部屋?に待機していた4人が時間差で一人ずつ参戦していき、最後は6人で金網マッチを闘う…というルール。反則ルール無しというのがキーポイントとなっていて、特に男子戦では試合に関係ないA・J・スタイルズの乱入が勝負を左右した(それでも反則にならない)。今回の試合で新たに生まれた因縁がそのままレッスル・マニアの試合に組み込まれていくのだ。

 女子のエリミネーション戦は出場した6人中5人がベビー・フェイスだったのは、やや興を削いだ感がある。唯一のヒールもまだ一軍に上がって間もない新鋭(ティファニー・ストラットン)だったので、憎々しさの迫力は今一つだった。

 男子戦の勝者ドリュー・マッキンタイアはトップヒールだが、悪いだけでなくタフネスさも魅力。今回の試合も最初から出ずっぱりで勝った。これでレッスルマニアでWWEヘビー級チャンピオン、セス・ロリンズへの挑戦が決定した訳だが、ロリンズ、マッキンタイヤ―が共に嫌っている欠場中のC・M・パンクが二人の間に割って入り、3WAYマッチに変更する可能性も有り。

 同時に決定済みのローマン・レインズ対コーディー・ローデスのWWEユニバース戦も、「ロック」ことドウェイン・ジョンソンが黙って認めるとは思えない。こっちも3WAY戦に変更? でもトップムービー・スターであるドウェイン・ジョンソンは、レッスルマニアまでの期間、映画俳優活動は完全休業中なのかしらん。

 そのロックの従姉妹ナイア・ジャックスが、地元出身のリア・リプリーの持つ女子世界王座に挑戦する試合がメイン・エベント。バリバリのヒールであるリプリーも地元では大ベビー・フェイス、本人も自国試合という事もありベビー・フェイスらしく観客と握手したりしていた。体重120㌔越えの大女ナイアの肉弾プレス攻撃に苦しんだが、最後は何とか勝利というハーピーエンドに。ナイア・ジャックスはヒールだけど何となく憎めない感じ。アンコ型の体形の人って愛嬌を感じる所があり、どうしても「根は実はいい人」風に映るのだ(好例が『WWE』ではなく『WWF』だった90年代にトップヒールだったインチキ相撲レスラー『ヨコズナ』)

 とまあ無料配信という事もあって何のかんの言っても愉しめた今回のエリミネーション・チェンバー。ただ残念だったのは我らが中邑真輔の出番がなかった事。ロリンズ、コーディーとトップ所に連敗した以上当分は表舞台に立つ事は無さそうだが(レッスルマニアも不出場?)、女子の日本勢が頑張っているだけにちと辛い立場。WWEでのオカダ・カズチカとの黄金タッグの実現に期待するしかないのか…。