イヨン(シン・ミナ)は女子高飛び込み世界ランク1位のスター選手。絶好調のイヨンに比べ長い間ライバルだったスジン(イ・ユヨン)は不調のどん底で引退を口走る。そんな彼女を思いやったイヨンはコーチに、シンクロ競技のパートナーにすると言う。いざ一緒に練習を重ねるとスジンはめきめきと調子を取り戻しイヨンを驚かさせる。そんな時スジンがドーピングが原因で死んだ、同じ高飛び込みの選手へリョンの亡霊と会って「悪魔の取引」をして強くなったという噂が…。
ついこの間『世界水泳』の飛び込み中継をTVで観戦。そういう意味で個人的にタイムリーな作品を鑑賞した。飛び込み競技のトップ選手の心理的な葛藤を作品のベースにしたサスペンス色濃厚な韓国映画。一時は数多く観ていた韓国映画だが、最近はすっかりご無沙汰気味だったな~。主演に扮するシン・ミナはモデルから女優に転身し映画、ドラマで活躍している醤油顔の美女。ライバル役のイ・ユヨンは美容関係の仕事を経て演劇学校で演技を学んで女優に転身した変わり種。デビュー作でイタリアで行われた「第14回ミラノ国際映画祭」で主演女優賞を受賞した経験を持つ。残念ながら本作は日本では劇場未公開、DVD化のみに終わった。
国際試合の代表選考会が迫った夜、イヨンはスジンの運転する車に乗って夜のドライブ中大雨に遭い、スジンはハンドルを切り損ねて車は崖から転落して海に沈んだ。イヨンは直ぐに浮上して額の怪我だけで済んだが、スジンは行方不明に。そのショック故にイヨンの記憶は曖昧なままで事件の真相は警察が捜査する事に。捜査によってスジンの知られざる素顔が明らかになっていく。飲酒癖、残された日記に書かれてあったイヨンへの嫉妬。精神錯乱状態になったイヨンは現実とも妄想ともつかぬ体験に苦しめられる。ジュニア時代。その時はスジンがトップ選手でイヨンの方が格下だった。競技中イヨンがスジンに母親の急逝を知らせるまでは…。
自動車事故の真相を探る内、トップアスリートにありがちなライバル心や嫉妬心が露わになっていくストーリーだが、ヒロイン現実に体験する出来事と妄想の境界線がかなり曖昧に描かれており、一回観ただけでは内容が把握しづらいという欠点はあるものの、ヒロインとライバル間の感情を飼育用の二匹のクラゲに見立てて語る下りなどは面白いし、水が想起させる無機質イメージが映画の醒めたテーマとフィットしている構成も悪くはない。シン・ミナは撮影当時30代半ばだった割には少女ぽい競泳水着が良く似合う見た目の良さもあり。ストーリーの結末はありきたりと取るか意味深と取るかは、観る人それぞれであろう。観る価値はあったな。
作品評価★★★
(実質80分ぐらいの長さにこれでもかとばかり意匠凝らした演出はどうかと思う部分もあるのだが、こういう冷えたサスペンス物は嫌いじゃないよね。劇場公開されなかったのは、日本では飛び込み競技がマイナーだからか。『DIVE!!』って漫画の映画化作品はあったけど)
付録コラム~泥酔してたらそもそも記憶自体ないのでは
TVドラマとかは殆ど観ないので「真木よう子」のイメージといえば『ゆれる』(06)とか『さよなら渓谷』(13)とかのシリアス作品の印象が強く、ブッ飛んだ素顔などというのは想像し難かったのだが、今回の「エアガン騒動」などを検証するとそうみたいだ。
芸能界を辞めた元芸人が、先輩芸人に呼ばれて自宅で行われていた呑み会に顔を出したら、ジャニーズ系タレントと真木よう子にエアガンで撃たれたとSNSで告白。真木は直ぐ様反応し「そんな事する訳ないじゃない。告白してる人は精神疾患のある人。会った事もない」と全面否定している。
デタラメ言ってると言うけれど、元芸人は呑み会出席者の面子まで明かしているし作り話だとは思えない。「会った事もない」じゃなくて「会った記憶がない」のでは。その時真木よう子は泥酔していたと芸人は言っている。「目が座っていた」という描写もリアルだ。「精神疾患者だから言ってる事はデタラメ」なんて差別以外の何物でもないし、その呑み会に顔を出した時点で素面だった元芸人と、その時泥酔していた人間の言ってる事とどっちが信用できるか…と問われれば、どう考えても素面の方かなと思うのが普通な感じがする。「泥酔」に関しては俺も苦い経験があり過ぎ。そういう自分の経験を踏まえても元芸人が言ってる事の方がホントぽい。
真木よう子は「名誉毀損とかでその人をもっと追い詰めることって、私はしたくないんで。ちゃんとその人が自分の本当の姿に戻れるまで、応援していきたいと思いますね」と反応してるが、これって表現は柔らかいけど「可哀想だから許してあげる」的な、完全に上から目線の物言いだ。本当にやってないんだったら完全な中傷行為で訴えるに相当な案件、法的手段に訴えるべき。こんな言われ方されれば相手が逆ギレして当然だよ。
勿論本当の真相はその場にいた人以外には判らないけど「人生の先輩」としては、お酒は程々にと真木よう子さんに忠告したい気持ち。加えてこの一件で「女優失格」なんて気持ちは1ミリも無いし「女優・真木よう子」は今後も応援していきたい。