チエ(吉高由里子)はその時の気分に合わせて5人の男と同時進行で付き合っている。親友のトシコ(杏)が突然結婚。驚いたチエにトシコは貴方もそろそろ考えたらと言い、結婚願望はないとは言ったものの、先の事を考えたら身辺整理した方がいいと思ったチエは、五人の内一番付き合うメリットがない、パン製造工場で働いているタクミ(浜野謙太)をまず最初に切る事に。タクミの仕事場に行って別れると宣言したチエだが、タクミの返答は「そもそも付き合ってない」…。

 

 現在NHK大河ドラマ『光る君へ』に主演中で、名実共に日本のトップ女優になった吉高由里子。彼女が一躍注目された『紀子の食卓』(06)を公開より先行で観た俺としては、それなりに感慨深い物があったりして。本作は蜷川幸雄が監督した『蛇にピアス』(08)に続く2本目の彼女の主演作。将来の結婚を想定してセフレレベルの男を切ろうとしたヒロインが、男の意外な態度に唖然…という恋愛コメディ。本作が劇場映画デビューで『夫婦フーフー日記』(15)、橋本環奈の初主演作『セーラー服と機関銃 -卒業-』(16)なども撮った前田弘二が監督、前田監督とのコンビが多い高田亮と脚本を共作もしている。加瀬亮、榎木孝明、石橋杏奈なども出演。

 

 チエとは体の関係もある友達関係…。そうタクミに言われてチエは痛くプライドを傷つけられる。タクミはパン工場経営者の娘ミカに惚れていた。チエは私立探偵ばりにミカの身辺を調査した結果、ミカはヤリ●●だとの証言を得てそれをタクミに突きつけるが、タクミはヤリ●●でも構わない、友達だったら僕の恋愛応援してよと言われてしまう。どうせフラれるんだからと一応了承したチエだが、何とミカはタクミの求愛を受け入れてしまった。全てが自分の思惑とは逆になっていく事態にチエの苛々は収まらない。タクミとミカから手料理を御馳走すると誘われたチエは、当てつけに5人の内の一人、バツイチ男のみのるを同行させタクミのアパートに行く…。

 

 五股で男と付き合い自分はモテモテだと思っていたヒロインが、顔は不細工で金もない癖にやたら厚かましい男の無神経ぶりに悩まされながらも、結果的に男と別の女との恋愛をバックアップする事になるという滑稽さ。男に罵声を浴びせながらも自分がこんな奴にフラれるという事が許せないヒロインは、はっきし言って同性には絶対好かれないタイプ。そんなヒロインがドタバタを繰り返している内にその男を好きになる…というか、他人に譲るのが勿体なくなるシチュエーションには、面食いな若い女性たちへの軽い皮肉がこめられている様にも思えた。イケメン揃いの共演者を尻目に奇っ怪な存在感を示す浜野謙太と吉高の、怪演合戦が見物だ。

 

作品評価★★★★

(大手ダクション推しの人気女優は、TVで「ドジでノロマな女」を演じる事は都度あるが「痛い女」を演じる事は殆ど無い。その意味で言えば本作の吉高のキャラクターは映画でのみ観られる貴重な物である。実生活で東出昌大と離婚してしまった杏は逆な意味で痛いが…)

 

 付録コラム~自民党議員は精神科に診てもらえ

 最近富に物忘れが多くなって四苦八苦している。特にスマホの置き忘れというか、直ぐに何処に置いたのか忘れてしまう。決まった場所に置いておかないだらしなさがそもそもの原因なんだろうが、お陰で滅多にかかってこなくなった(かかってきても詐欺電話ぽいのばかり)固定電話の助けを借りる事に。つまり固定電話からスマホに電話すれば呼び出し音が鳴り所在が判る…という訳。情けない限りである。

 所が自民党の政治家センセイは俺なんかよりもっと重症な様だ。僅か3年前だかに統一教会に選挙応援してもらった事を忘れた(一時薄々思い出してきたと発言していたが、その翌日にはまたすっかり忘れたそう)現文科大臣が、何と統一教会の解散命令を出す立場にいる。殆どギャグみたいな設定ではないか。

 とにかく統一教会関連になると、自民党議員は突然健忘症に襲われる様で、数年前の山際という大臣に至っては、統一教会が主宰したイベントに参加する為にネパールまで行っておきながら「その時の記憶がない」と当初は発言(後に「出席したと考えるのが自然」という意味不明な釈明)。日本なら色んなトコ行き過ぎて判らないという弁解も成り立つだろうが、異国の、それもあんまり日本人が行ってなさそうな国に行ってもその記憶がないとは…。それが事実だとしたら絶対精神的な病気だ。直ぐに病院に行かないと近い将来普段の生活にも支障が出るはずだが。

 麻生自民党副総裁のおばさん発言が問題になっている様だが、そっちよりも現職外務大臣の名前を間違えた事の方が重大問題。多分麻生センセイは講演に出る前に秘書か誰かに今の外務大臣の名前は「上川」とだけ教えられたが、彼女の事自体良く知らないので読み方を知らず言い間違えをした…というのが真相だろう。こちらの方は記憶的な病気というより、単純に政治家としてはとっくに引退していておかしくない年齢ではある。そもそも「ナチスに学べ」という発言をしただけで既に政治家失格。こんな発言をしてのうのうと政治家を続けられていられる国は、世界中を見回しても日本だけであろう。

 こんな病人モドキや戦前の軍事国体制の復活を望んでいる様な輩が跋扈している現在の自民党政治は愚劣としか言い様がないんだが、それが政治に嫌気が差した若者たちの政治離れを進め、結果的に投票率が低くくなるのが功し、選挙で勝って自民党政治がまだまだ続く事となる悪循環。もうマジに政治について考えるのが厭になってきた…。