江戸幕府11代将軍・家斉の治世。仏性寺住職の娘として生まれたお美代(竹井みどり)は、父が直参旗本・中野清茂(夏八木勲)に請われて清茂の養女になる。同居する内にお美代の中に清茂を慕う気持ちが芽生えるが、清茂は情を通じている大奥年寄・花沢(西川峰子)を介して大奥に上げる心積もりだった。お美代は清茂と最後に一夜を共にした後花沢の部屋子として大奥に上がる。狙いは家斉の側室になり将軍の子を産む事。側室・藤乃にライバル心を燃やす…。

 

 88年6月をもってロマンポルノ路線を廃し、一般映画の二本立て興行『ロッポニカ』路線を打ち出したにっかつ。だが俺みたいな興行の素人目にも失敗する事は見えており、実際1年弱で中止。俺自身も一度も劇場でロッポニカ作品を観なかった。閑古鳥が鳴き続けた中、唯一ヒットしたと言われるのが本作と併映の『悪徳の栄え』(監督・実相寺昭雄)。本作は東映出身の関本郁夫が監督を務めた。関本らが共作でオリジナル脚本を執筆した、映画やTVでお馴染みの大奥物。根岸吉太郎の快作『キャバレー日記』(82)の竹井みどりの主演。東映作品で活躍した夏八木勲、成田三樹夫の起用は関本の希望による物だとか。他に白木万理などの出演。

 

 目論見通りお美代は家斉に見初められ懐妊し女児を出産。清茂の幕府内での地位は一気に上がった。家斉の寵愛を受けながらも清茂への想いは断ち切れないお美代を清茂は冷たく突き放し、お美代も大奥での権力を牛耳る事を一義的に考える女に変貌。藤乃が三十路に達して「お褥辞退」になり、大奥はお美代の天下になると思いきや、お美代よりも若いおゆうという新ライバルが出現。花沢からおゆうも清茂の養女として大奥に上がったと聞かされお美代は愕然。おゆうも家斉の子を身籠る。お美代の嫉妬はおゆう、怒りは自分を蔑ろにして事を進めた花沢に向けられた。或る日おゆうは毒を盛られ流産、毒薬は花沢の部屋から発見され…。

 

 最初の脚本に関本が実在した家斉の側室のエピソードを書き改め、それに女流脚本家(高山由紀子)も手に入れてヒロインと養父の禁断の愛を主軸したストーリーに。その慧眼ぶりには感心するけど、それが即ち映画としての良さに繋がっていかないのが難しい所だ。豪華絢爛な大奥の虚飾に充ちた生活を映像的に描くまでに至っていないのは、低予算故の哀しさだろう。加えて正攻法に徹した演出が裏目に出た。結果的に女性ならでは…と言ったらセクハラになるかもしれないけど、陰湿で惨たらしい描写ばかりが目立ってしまい、観ていて中途でゲンナリさせられてしまった。怪演役者化していた成田が濡れ場までやっていたのには驚いた。

 

作品評価★★

(本作はR-15指定。竹井みどりは一般映画と思って出演したらしく、撮影中濡れ場シーンが多いのにおかんむりだったとか。映画やTVで大奥物は当たるという事実は証明されたが、同じ関本の大奥物なら、更に低予算だけど77年に撮った『大奥浮世風呂』の方がずっとイイ)

 

付録コラム~大仁田厚のインタビューを載せた「報知」の見識の無さ

 今やスポーツ新聞もネットを無視できないらしく、どの新聞も電子版のネットニュースを配信しているらしい。ただそれを街角で売っている本紙と全く別のメディアと考えるのには無理がある。新聞の場合当然「嘘」を書いちゃいけない。でも電子版の記事は嘘か誠か、その辺はファジーでいい…って訳はないだろう。同じ「報知」の看板を出しているんだから。

 

 そこで問題としたいのが、毎週金土曜日に長期連載してるらしい配信コラム『シン・大仁田厚 涙のカリスマ50年目の真実』。大仁田の現役プロレス生活50周年記念のインタビュー記事だが、言ってる事が俺が今まで聞いてきた話とまるっきり違っていて「シン」とは言い難い。その証拠にインタビューの肝心な部分で登場する人物は全て故人。所謂「死人に口なし」って奴だ。事実と違うと本人自身が抗議する事も出来ない訳だから、もう言ったモン勝ちである。

 ただ文中で名指しで批判されている、大仁田の某愛弟子レスラーが直ぐに自身のYOU TUBEで「言ってる事は事実と違う」と抗議。結果的に日本全国向けに自分の批判記事が出てしまった事への怒りは強く、途中師匠である大仁田の事を二度ほど「お前」呼ばわりしていた。弟子からお前呼ばわりされる事自体、大仁田の人間としての品性の低さを暗示する物であるが…。

 大仁田が嘘つきで人格的に問題があるのはもう分かっているし、例えば大仁田が雑誌レベルで吉田豪とかにインタビューされ、自分に都合のいい事ばっかり言ってる分には、まあ目を瞑っていい。しかしれっきとした全国紙の冠を抱いた配信記事で、報知側がかなり怪しい発言の検証もせず掲載している事に、大きな疑問を感じないではいられない。それどころか某愛弟子レスラーの反論までちゃっかりニュース化し、何かこの件に関しては自分らは全く罪がないと責任回避しているみたいで不愉快。尤も俺は超アンチ讀賣ジャイアンツなので、端から報知は好きじゃないんだけど(笑)。

 こういうスポーツ紙の無責任な態度は今に始まった事ではなくて、例のジャニーズの性加害に知らんぷりなどその典型であるが、2022年新型コロナ・ウイルス禍による緊急事態下で、当時大関で横綱有力候補と言われていた「朝乃山」をキャバクラに誘ったのが『スポーツ・ニッポン』紙の相撲番記者だった事にも呆れた。相撲界の諸問題を検証する立場の人間が、自ら問題の張本人になるとは…。その元記者は解雇処分になったというが、さすがにあんまり同情はできなかったな。

 新聞系メディアなら、ちゃんと事実と思われる事だけをニュースとして報道して欲しいよね。