日奈々(橋本環奈)は勉強に励み、家では年の離れた妹の面倒を見る超真面目な女子高生、でも心の中は王子様との恋を夢見る乙女。学校で人気絶頂のタレント・綾瀬楓(片寄良平)主演映画のロケをする事になり学内は大騒ぎだが、エキストラに選ばれた日奈々は楓の目前で転び下着を見られてしまって大羞恥。数日後。妹の為にUFOキャッチャーをやっていた日奈々は、いきなり現れた楓の指導でお目当てのぬいぐるみをゲット。数日後楓が学校にやって来て…。

 

 一時はジャニタレと同じ位勢いがあった『EXILE』一派。その一員であるという片寄涼太の、今の所唯一の主演作品。何者か全く知らないので調べてみたら土屋太鳳のダンナだった…。『別冊フレンド』(講談社・刊)に15~20年まで連載された、みきもと凛の同名漫画の映画化。恋愛映画好きでシンデレラ願望を持つヒロインが、国民的人気のアイドルと付き合う様になる王道ラブストーリー。TVドラマの演出を手掛ける一方、恋愛物映画作品も多数ある新城毅彦が監督を務め、福岡限定のアイドルから人気女優まで上り詰めた橋本環奈がヒロイン。他に映画出演は久々だった遠藤憲一、酒井若菜、千葉真一の息子・眞栄田郷敦など。松竹配給。

 

 以降付き合う事になって二人だが、人気アイドルと女子高生の恋愛は業界的に御法度なので公にデートする事はできない。日奈々の幼馴染・彰(眞栄田郷敦)は彼女に恋心を抱き、楓の元カノで今度ドラマで再共演する事になる女優・柊という恋敵もいる。偶然だが日奈々は楓と柊のキスシーンの撮影を目の当たりに見てしまい、訪れた楓のマンションにも柊がいた事でフラれたと思い大ショック。引きこもっていた彼女に会いに楓が日奈々の家にまで現れ柊とはもう何もないと断言。柊も彰も日奈々の純な気持ちに接して自ら身を引いた。これで二人の恋愛も実るはず…と思われた矢先にマスコミに暴かれてしまい、楓は大バッシングを受けて…。

 

 少女漫画なんて長い事読んだ事もないのだが、こんな「純情だけどパンチラしちゃう様なドジな女の子が、意外な事にイケメンと好き好き関係」みたいなストーリーの物が未だ需要があるんだなと…。主人公が学校にまでヒロインを訪ねてきたというのに、クラスメートが二人の関係を殆ど詮索しないのは脚本的におかしいだろう。片寄の演技は野郎だしどうでもいいんだが、橋本環奈はシリアスな演技は一応無難にこなすけど、コメディ演技は超わざとらしくて大根芝居。二人の恋敵があっさり引き下がる展開は都合良過ぎるし、山あり谷ありに欠けて映画として面白くない。ストーリーより、これも久々に見た酒井若菜が全く別人になってたのが衝撃的。

 

作品評価★

(全盛期の小室哲哉が、恋人とデートする時高級レストランを貸し切りにしていた…とのエピソードを、泉谷しげるが「そんな事して楽しいのか」と批判していたが、本作の主人公も同じ事やってた。ヒロインの性格上相手がそんなバブルな男だと知ったら、興醒めすると思うけど)

 

映画四方山話その998~今年観れて良かった10本の作品

 

①『昼顔』(67年 監督ルイス・ブニュエル 主演カトリーヌ・ドヌーヴ)

 

 

②『チワワちゃん』(19年 監督・二宮健 主演・門脇麦)

 

③『ハケンアニメ!』(22年 監督・吉野耕平 主演・吉岡里帆)

 

④『ドライブ・マイ・カー』(21年 監督・濱口竜介 主演・西島秀俊)

 

 

⑤『がめつい奴』(60年 監督・千葉泰樹 主演・三益愛子)

 

 

⑥『続・荒野の用心棒』(66年 監督セルジオ・コルブッチ 主演フランコ・ネロ)

 

 

⑦『荒野の決闘』(49年 監督ジョン・フォード 主演ヘンリー・フォンダ)

 

⑧『PLAN75』(22年 監督・早川千絵 主演・倍賞千恵子)

 

 

⑨『ケイコ 耳を澄ませて』(22年 監督・三宅唱)

 

 

⑩『ベイビーわるきゅーれ』(21年 監督・阪本裕吾 主演・高石あかり&伊澤沙織)