ズブ国は国王とパニッシュ王子が「首狩り将軍」に殺害され、将軍の独裁政権が敷かれていた。将軍は国王が「漂流島」に隠した財宝を狙っていたが、漂流島には厳重な防御システムがあり迂闊に手を出す事はできない。同じく財宝を狙うルパン(声・栗田貫一)たちも一度潜入したがスゴスゴ撤退するしかなかった。防御システムの秘密を知る者は表面上は将軍の娘という事で将軍に囚われているエメラのみとされる。それを受けルパンたちはエメラを救い出す…。

 

 71年にパート!が放映されて以来根強い人気を誇っているTVアニメ『ルパン三世』シリーズ。その人気を受けて79年より劇場版アニメが製作開始、現在までスピンオフ作品と『名探偵コナン』とのコラボ企画も含めると計10作が製作されている。6作目に当る本作は映画監督やアニメ監督ではなく同名原作漫画作者のモンキー・パンチが監督を務めた。とある小国に眠る財宝を巡ってルパン一味と独裁者が攻防を展開…。ルパン役を長く務めた声優・山田康雄が95年に亡くなった事で本作からは山田の物真似を持ち芸としていた物真似芸人・栗田貫一がルパンの声優務め、次元以外のレギュラー声優も本作限りで次作から総入れ替えになった。

 

 しかしルパンたちが誘拐したエメラは偽者で、その正体は将軍に工作員であるオーリエンダー(声・高山みなみ)だった。オーリエンダーはパニッシュ王子と恋仲だったが国王と不和で殺され将軍が仇を討ったと聞かされ将軍のスパイとなっていたのだ。オーリエンダーの手引きでアジトを急襲されたルパンは逃亡する際オーリエンダーに死んだはずのパリッシュ王子を街で見たと告げる。驚いたオーリエンダーは将軍の下を離れパニッシュ王子の足取りを掴む為街へ繰り出す。同じ頃峰不二子(声・増山江威子)はエメラの教育係に抜擢され将軍の巣窟潜入に成功。エメラは実は漂流島の防御システムを作った科学者の娘だが何も知らないと言う…。

 

 ファミリ―向けにアレンジされていたTV版アニメパート2とは趣を随分と変え、原作漫画に近い雰囲気を出したいというのが原作者である監督の目論見だった様だ。TV版では完全な弄られ役に落ちてしまった銭形警部が本作では切れ者として描かれニヒルな一面も垣間見せる。同じくTV版ではヒューマニズム的な一面もあるルパンが、目的の為には女の恋心を利用するという狡猾で非情な所もあるキャラに設定されているのが特徴。結果TV版よりもややアダルトな内容になった感じ。TVのスペシャル版などを観ると物真似癖強いのが気に障った栗田貫一のアテレコも本作ではそんなに違和感なかったし、峰不二子もTV版より二割り増し色っぽい。

 

作品評価★★★

(第二作カリオストロの城』の評価が高いがあれは完全に宮崎駿の作品になってしまっており、ルパン三世シリーズの内の一本とは認め難い気持ちもある。その点本作はいい意味でプログラムピクチャー的なテイストがあり、多くを期待しないで観たのが幸いし満足はした)

 

映画四方山話その635~ルパン三世実写版キャスト

 ルパン三世の実写版は現在まで二作製作されている。73年の『ルパン三世・念力珍作戦』は次元=田中邦衛 銭形警部=伊東四朗のキャスティングからも分かる様に完全にドタバタコメディと化しており、真面目なルパン三世ファン?にはあまり評判は良くないようだ(俺は好き)。

 14年に公開された実写版はアジアロケを敢行した四年越しで製作された大作だったみたいだが俺は未見というか、監督が北村龍平と聞いただけで半分くらい観る気が失せてしまった。日本版『ゴジラ』最終作をハチャメチャにしてしまった北村龍平を俺は許さん。評判は賛否両論という所でやはりルパン役など実写版ならではの、キャストに対する違和感が大きかったみたいだ。これはどうしても避けられない問題ではあると思う。

 そういうハンデを承知で俺も次なるルパンの実写版製作に向けて?キャストを妄想してみた。まずキャストの前に監督。堤幸彦なら依頼されたら二つ返事で受けそうだが、それでは意外性がなさ過ぎて面白くない。北村龍平作品のプロデュ―サーが山本又一郎という事で思いついたのだが、彼がプロデュ―サーを務めた『太陽を盗んだ男』(79)の長谷川和彦を担ぎ出すというのはどうだろう? 『太陽を盗んだ男』は実写版漫画みたいな怪作だったし案外ルパン三世ワールドに向いているかも?

 ルパン役は敢えてシリアス的な雰囲気を持つ俳優に女好きでやや軽薄な演技をさせる意外性を買って松坂桃季。

 峰不二子役についてはかなり前に藤原紀香が「理想の女性は峰不二子」と言っていた事を思い出す。全盛期?の藤原紀香なら演技力はともかく外見的には峰不二子にピッタリだが、今は加齢してしまっているので…。ここは最近悪女役にもチャレンジして脱清純派を計っている長澤まさみでいいだろう。

 次元大介役は気障なダンディ役を振られても案外苦にしないかもという点と、映画版『深夜食堂』シリーズで脇に回っても味を出していた点を評価してオダギリ―ジョーを抜擢。

 石川五右衛門役は多くの人が言っていた様に阿部寛でドンピシャ。時代劇出演の経験もあるしやや年長なのが気になるけど、そこは何とか頑張ってもらう事にして。

 問題は銭形警部。今回の作品みたいなニヒルな銭形にするか三枚目の銭形にするかで意見が分かれる。ニヒルな銭形なら『太陽を盗んだ男』の菅原文太でイイと思うんだが、もう故人だ。

 ここは敢えて三枚目キャラの銭形で行こうと思う。となるとベストは『半沢直樹』で顔芸という新たなジャンルを開発した香川照之。それがダメならば遠藤憲一。もう映画からTVに完全転向して久しいが国民的人気アニメの実写版なら断らないと思うので。

 悪役はビートたけしでいいと思うんだが、これも二つ返事で受けてしまいそうなので面白くない。ここは映画出演はもう何十年もしていないタモリに懐かしのアイパッチをしてもらう事を条件にオファー。 

 と、勝手に妄想キャストを組んでみたがこれではギャラだけで相当な金がかかるなあ。おまけに監督が長谷川和彦ではトラブル続出で製作中止になっちゃうという結論まで想像してしまって、あまり意味がない妄想でしたな…。