もうネタ的には古い話になるんだろうが、ネット記事で「元『AKB48』で現在はインドネシアでタレント活動している仲川遥香が某TV番組で「自分の父は元無名プロレスラー」と告白したのがプロレスマニアの間で話題になったらしい。

 AKBを始めとした48グループとプロレスの繋がりは結構深く『SKE48』のエースだった松井珠理奈はドラマでプロレスラーを演じたのをきっかけにプロレスにハマり、プロレス中継のゲストコメンテーターの仕事を定期的こなしているし、他にも熱狂的プロレスファンを自称するAKBメンバーは何人かいた。

 でも父親がプロレスラーだったAKBメンバーはこれまで聞いた事がない。当然ながら父親は探しがネット界隈で始まった。プロフィールによると仲川遥香は92年の生まれ。「無名だった父親」が所属していた団体となると多分インディーズ団体ではと察しがつく。当時まだインディーズ団体の数もそんなに多くはないので、その限られた団体の所属レスラーを思い浮かべる内浮上したのが当時『FMW』に在籍していた中川浩二。

 その頃俺はFMWの試合も観に行ってたし中川の存在は一応知っていた。前座などに登場する線が細い若手レスラーというのが彼について残っている微かな記憶で、何しろ当時のFMWは大仁田厚が絶対的エースだったのでどうしても大仁田の対角線に立たないレスラーは、FMWの副将格であるターザン後藤を除けば員数レスラーの印象が拭えなかったし。

 中川のデビューは仲川の生年と同じで当時24歳。年齢的には不思議はないもののまだ駆け出しレスラーの分際で既に妻子持ちだった事になる(仲川遥香には早世した姉がいたそうなので、となると中川はかなりの早婚となるのだが)。

 まあそういう状況では家族生活がままならぬのも当たり前で夫婦は早々に離婚、仲川遥香は生活苦の為児童養護施設に預けられたりしながら育ったという。父とされる中川が所属したFMWは大仁田の引退~ごり押し復帰によってかつての熱狂的ファンを失い観客数は激滅し大仁田と絶縁して新生FMWとして再出発。その過程で中川も技巧派レスラーとしてFMWの中心選手の一人となり、やがて『GOEMON』と改名しヒールターンしたりしてプロレスマニアには一応知られた存在になったが、一般的には「無名レスラー」である事は変わらなかった。

 しかし方向性の違いから同じくFMWを離れた仲間と02年『WMF』という団体を設立したが、設立早々に団体としての活動が困難になり、中川ことGOEMONも早々にWMFを離脱した。以降はフリーの立場で様々なインディーズ団体に出場し現在に至る様だ。

 中川のレスラー経歴を見てみると結局華だったのはFMW時代のみで、その後はとてもレスラーのみでは喰えてはいないだろうな…と想像がつく。今はファイトマネーだけで食えないレスラーは当たり前にいるが、ゼロ年代に入るぐらいまではそんなレスラーは「素人の毛が生えたレベル」などと新日のエリートレスラーからは公然と侮蔑されていたりした。娘がアイドルスターになったからといっておいそれと父親と名乗れる立場じゃない事は重々も承知だろう。

 実際中川はツイッターで「父ではない」と断言しており、仲川も中川が実父であるか否かに対しては言葉を濁している。でもそうでないならはっきり否定すれば済む話だし、仲川が撮った「父とのツ―ショット写真」には中川と酷似した男が映っている。実は仲川の父は練習生として某団体に入ったがデビューに至らず辞めてトラック選手に転業…との情報も出てるが、それもさしたる証拠がある訳でもなく、残念ながら真相は今の時点では不明である。

 ちなみに「有名レスラーの娘」としては新日プロレスや第一次UWFで活躍したいぶし銀レスラー、木戸修の娘のプロゴルファー、木戸愛がいる。初優勝した時は脚線美ゴルファーとして話題になったが、今では現役時代の親父と同じくすっかり「中堅」ゴルファーのイメージが。