暑熱の煩雑な些事の日々、それに右往左往する不定形な心情にも拘わらずに季節も時候も変わる。そして、やがて、秋が到来すると世は鮮やかな色彩の風景と豊饒な恵みが齎れるらしい。

 
 ・気もうつろ かいなに風さわり 夕焼け雲

 ・汗ねっとり 夕照見呆けて 虫音やむ

 ・赤とんぼ 蝗もこぞりて 早稲の秋

 ・役目終え 碁盤目に映えし刈田かな

 ・とどろきて 雨を待つ身に 秋近し

 ・夏は去る 遠雷ひびいてかの天地

 ・気怠き身に 鳳仙花咲く野辺の路