アンニョンハセヨ韓国
 
 
 
これはある物が人間の手によって醜い姿になってしまった、悲しい話。
 
 
 
カバンの中に衝撃的なものが入っていた。
 
 
 
 
分かるだろうか。
 
ダイエット韓方でもなく、酵素パウダーでもなく、ハンドクリームでもない。
茶色の長細いやつ。
 
 
 
 
 
アイスクリーム。棒アイス。
 
がっつり溶けた棒アイス。
 
 
 
 
一瞬時が止まり、記憶がブワっと押し寄せてきた。
 
 
 
 
 
 
これは、3日前に買った、棒アイスだ。
 
 
 
 
 
 
記憶をたどってみよう。
 
 
3日前、牛乳とヤクルトと棒アイスを買った。
袋忘れたけどまぁいいやとそのまま手に持って帰った。
棒アイスはショルダーバッグに入れておこうとスッとしまった。
家ついて牛乳とヤクルトを冷蔵庫へ入れた。
カバンを棚へしまった。
カフェラテを作りほっと一息した。
 
 
ほっと一息してる場合じゃない
 
 
 
その翌日、さらに翌日も同じカバンを使ったはず。
なぜ気が付かないのか。
一度もカバンを開けなかったのか。
なんのためのカバンで、なんのために持ち歩いたんだ。
 
 
 
 
 
一件普通の棒アイスに見えるけど
 
 
 
 
グシャッ
 
 
 
素晴らしい柔軟性。
 
 
すっかり溶けてしまった棒アイス。
棒なんてなんの役にも立たない姿にさせてしまった。
 
 
元の姿に戻してあげよう。
 
私は縦に立てて冷凍庫へそっとしまった。
 
 
翌日、硬さを取り戻した棒アイスを見つけたユさんが「食べてもいい?」と言ってきたので、私は承諾した。
 
 
袋を開けたユさんが、絶叫した。
 
 
 
 
「うんこみたい!!」
 
 
 
 
可哀想に。
元々は美しい形の棒アイスだったのに、私のせいでうんこみたいと言われてしまうなんて。
いずれはうんこになる運命だったとしても、可哀想ではないか。
42歳の私に「100歳超えて見える!」と言うようなものだ。
(※100歳がうんこに見えるということではない)
 
 
うんこみたいと暴言をはいたくせに、そのうんこみたいな棒アイスを食べようとするユさん。
 
 
しかし私はユさんに重要なことを伝え忘れていた。
 
 
うんこみたいと言ったその棒アイスが解けたのは、昨日今日の話ではない。
昨日の発見から一夜すぎた今、4日前に購入し3日間常温で溶けたままの状態だったものだ。
 
 
伝えるか伝えまいか悩み、結局伝えた。
 
怒られた。
 
言わなきゃよかった。
 
 
ごめんね棒アイス。
来世はそのままの姿で美味しく食べてもらえる人に買ってもらうんだよ。
 
 
 
 
 
はい、終わり。
終着点見えないから、終わり。
 
 
みなさんもアイスを直接カバンにしまったら気をつけてくださいね。