そういやさー、銀河鉄道999の冒頭って、鉄郎のママ上がぶち抜かれて殺された挙句、
剥製にされて機械伯爵家のインテリアにされるという、よくよく考えると現代では結構、
少年誌では発禁レベル物の流れな訳だけどさ、あの剥製って何か凄い違和感があったんだよな。
ちょっと文庫本の1巻を見返してみたら、その正体が分かったわ。
アレ、作中の台詞では剥製って言ってるけど、その実、マネキンみたいな描かれ方なんだよな。
これは決して、松本御大が、剥製と言うものを良く分かっていないにも関わらず、
調べもせずに描いてしまった訳ではなく、少年誌という掲載紙の読者層を意識して、
あまりグロテスクにならないように配慮した結果だと思われます、多分。
剥製ってのは本当は、目玉の部分にガラス球を埋め込んで、生きている時と同じように見せかけるもんだ。
元々は動物標本としての役割が先であって、インテリアとしての意味は後だからねえ。
そんなことは別としても、鹿とかの頭部だけを剥製にした、壁掛けインテリアとかあるけど、
あれもちゃんとしたのを見ると、しっかり目には目らしい物体がはめ込まれている。
鉄郎の母上の剥製、目玉を模したガラス球がはめ込まれていないじゃない。
のっぺりした顔になっている、だからマネキンだって言っているんだが。
しかし、今思うとアレは、機械伯爵の美的感覚を表していたのかもな。
マネキンフェチって人間がいるからな、実際。
肉の体でありながら、どんなマネキンよりも作り物らしい肉体だったんだろう、鉄郎の母親は。
それにしても、剥製を作成する技術ってのは非常に難しいもののはずで、
種類ってか個体ごとに正確かつ精密な腕を要求されるわけで、人間の剥製には、
人間の剥製の作り方ってもんがある訳で、あんだけ綺麗に剥製というかインテリア化できたってことは、
もう死ぬほどの数バラしまくったんやろうね、機械伯爵。
まあなんだい、しかしさ、人間の剥製って本当にあるんだってな、世の中には。
レーニンの死体とかじゃねえよ、いや、あれも人間の剥製に入るのか。分からん。
同士レーニンの死体の中に、内臓とかが入ってなくて、全く無機物の詰め物がなされているならば、
それは剥製だが、正直詳細は分からんので、言及は控えとこう。
いや、ベンサムって御存知? ジェレミ・ベンサムね、最大多数の最大幸福、功利主義、で有名な人。
あの人、剥製になってるんだよな。うん剥製、内臓とか筋肉とか取っ払っちゃって、
外見だけ生きてる時のように見せかけるために防腐処理をして……って、ガチ剥製。
自分で剥製にするように遺言を残したそうで、安置されているのはロンドン大学な訳だが、
ちょっと前まで学生の玩具にされまくっていたらしい。ロンドンっ子たくましすぎんだろ。
しかし剥製ってのはさ、これこそ正に人間の誇る狂気の最たるものだと思うんだよな、俺は。
特にインテリア用の剥製、平たく言うと死体を飾っているわけでさ。
時々、マフラーやバッグだって動物の毛皮や革を使っている~ってことを持ち出して、
剥製だけが特別におもしろおかしい訳ではないって言う人がいるけれど、
確かにさ、俺たちゃ死体を身に付けたり、死体を用いたりしているって言えるけれど、
でも、剥製というのは、"わざわざ生きていた時同様の姿に近づけている"訳でな、やっぱり特異であると思う。
よくよく動物のことを調べていくと、幼児を慰み者にする、自分の身体を傷つける、
食す以外の理由で死体を損壊する、糞尿と戯れる、近親相姦……etc、人間の持つ異常な性的嗜好は、
大体どこかの動物が普通にやっていることな訳で、人が唱える異常な行動と言うのは、
大抵、自然界にも存在しうるものがほとんどなんだが、食べる以外で、
つまり保存食のような扱い以外で、死体を保存しようとする生物だけはいなかった……と思う。
つうてもアレだろうな、他の生物を標本として観察できる能力を与えたら、
実際に行動に移す生物はいくらでもいるだろうし、作成した死体に美意識を見出し、
保存する能力を与えたら、やっぱり住居に死体を飾ろうとする生物も出てくるだろうけどな。