Startup Weekendの振り返り - 第6弾 | UWC ISAK 生活日記

UWC ISAK 生活日記

UWC ISAK Japanの生徒による非公式ブログです。
「一度しかない人生。自分の個性を生かして思い切り生き、自らの立つ場所から世界を変える。(UWC ISAK Japan Webより)」

みなさんこんにちは。私はISAK高校1年、生まれてから11年間東京で暮らしたあと、母の転勤でISAKに来るまでの四年間は富山県で自然に囲まれ伸び伸びと育ったちゃきちゃきの日本っ子だ。

 

 今まで起業家体験イベントなんて参加したことのなかった私は、当初いささか憂鬱だった。次週に学校のカリキュラムの一つであるプロジェクトウィークを控えており、殺人的な忙しさに見舞われることが予想できたからだ(実際は予定が狂って全ての計画がキャンセルとなり、気がおかしくなるほど暇な1週間だった)。初日の1分間ピッチも何の準備もなく勢いでやり過ごしてしまった。これはいかんと、気持ちを切り替えようという計らいもあり、他ひとの企画に乗っかった。チーム、ポケモンカードだ。プレゼンの内容を聞いた時に将来性がありそう!とウキウキし、人数も多かったので議論が白熱するだろうと期待して参加を決めた。

 私たちのビジネスの内容は、プレーリーカードのようなものをインスタのようなSNSの型に落とし込んで、若者向けの新時代のオンラインプラットフォームを作る、と言うものだ。プレーリカードは名刺の延長のようなもので、より個人的な情報も記入できる現代の自己紹介の形の1つだ。ポケモンカード(ポケカ)のようなポップなテンプレートを採用しようと言うことで、2日目の朝は名刺とポケカの要素をまとめて大まかな構想を練ることから始まった。そして中本さんのプレゼンに習って、課題やペインなどの整理も行った。早速だがこれが最初にして最大の課題だった。多様化しプラプチ化しすぎたネットにより、いろんな自分が生まれてしまってありのままの自己表現ができない、それがペインだった。しかしそんな悩みをまた新たにSNSを作って解決するという、一見矛盾したようなアイデア。ペインもニーズもあるはずなのに、どれも断片的で全体として見ると噛み合わなくなってしまう。自己表現というつかみどころのないものを相手に、私たち自身(特に私だ)もなんかもうよくわからなくなっていた。議論が行き詰まってきた3日目、いよいよ時間がないということでプロトタイプやプレゼンの型をとりあえず作ることにした。そしたら思いの外(理想とはまだかけ離れていたけど)スムーズに進みなんとかそれっぽいところまで漕ぎ着けた。制作側の人間でその想いを熱く語るのもいいけど、本番は5分で全てを伝えなければいけない。私たちはいっそ振り切ってそこを諦め、直感的に面白そう!と思ってもらえるようなピッチの用意にシフトした。

 私の恩師の言葉に(もしかしたら偉人の受け売りかもしれないけど)「物事賛否両論ある方がいい」というのがある。最初から完成しているものなどないし、特に反論が生まれないのならそれほど人を考えさせるような内容でない、ということだ。他人に受け身じゃなく自発的に興味を持ってもらうことが大切なのだ。そのためには反論も受け入れる心構えも必要。本番は、議論が白熱してマネタイズや経営戦略が蔑ろになってしまったことなど、弱みも含めてありのままの私たちを魅せた。最終的にランクインはしなかったものの、自分が納得できるくらいに最善を尽くすことができ、学びの多い満足のいく3日間となった。

 No talk, all action この少ない期間でも「とりあえずやってみる」ことの大切さや有用さを改めて痛感した。まずデータ。アイデアを机上の空論で終わらせてしまわないように、統計をもとに説得力を持ってその必要性を説く。数字が出せればそれを事実として提示できるだけでなく、実際に将来の利用者(になるであろう人たち)から生の声を聞くことができる。次にビジュアル化。百聞は一見にしかずというように、実際に立体的に見ないと得られない気づきは多い。議論のキリが悪く現状に満足がいっていない時こそ、一旦アイデアを図やイラストにしてみることで新たな側面を見せてくれる。最後にピッチだ。この場合のピッチとは「初めて会う相手や不特定多数の人に向けて行われる」宣伝だ(HRBrainより引用)。完璧な計画を求めて自分の中であたためて使わず終いは勿体無い。何度もプレゼンしていくうちに、自分も理解を深めることができるし自分のアイデアの魅せ方もわかってくる。また多くの人から有益なフィードバックが得られるし、それがまさに生きたデータなのだ。

 スピード感のある3日間だったが、とても優秀で情熱に溢れた人と意見をぶつけ合い見識を深めることができた。自分が全力投球した時に、それを冷静に受け止めてくれる仲間、確かな手応えとともにそれと同じくらいの熱量で返してくれる仲間がいるというのは、えもいわれぬような充足感がある。このような仲間は仕事でも生活でも、生涯を通して欠かせない存在だ。

 イベントが終わった後も一部のチームメンバーとプロジェクトを進めており、今年中に

「とりあえず」商品化をしたい考えだ。彼らとは一友人としても関わりを深めており、今でもよく連絡を取り合う仲だ。同世代の友達もそれぞれ面白いバックグラウンドを持っているし、社会人の方との会話は学びが多くネタが尽きない。中には世界中を転々としている人もいて、イベントが終わってもう2週間経つはずなのに、いまだに驚きや発見の連続でとても幸せだ。たったの三日間と言ってしまうととても短いように聞こえる。しかし起業に興味がある者としてだけでなく、人間としても豊かになれた濃密な時間だった。ここで生まれた情熱を絶やさないでいきたい。