Startup Weekendの振り返り - 第5弾 | UWC ISAK 生活日記

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UWC ISAK Japanの生徒による非公式ブログです。
「一度しかない人生。自分の個性を生かして思い切り生き、自らの立つ場所から世界を変える。(UWC ISAK Japan Webより)」

 皆様、こんにちは。秋休みを迎えて家に帰り、料理とお菓子作りに没頭している赤柴です。私は寮のキッチンをあまり好んでいなくて、基本的にISAKでは料理をしないので、家のキッチンで思いっきり弾けています。卵料理、そば、シナモンパン、パイ…秋休みなのにあまり休んでいない気がします。

 

 さて、今回は話題の Startup Weekend について。私は先輩方に誘われて参加をしましたが、申し込んだことで失われてしまった土日をイベントが始まる寸前まで惜しんでいました。起業に全く興味がない私は、一体なぜ貴重な休みを犠牲にしてしまったのか…皆さん、先輩の説得力を軽視してはいけません。

 しかし、私は素晴らしい先輩方に恵まれています。Startup Weekend が始まった途端にそれが判明しました。土日を惜しむ暇なんてないぐらいの勢いでイベントが始まっていき、私は、気づいたら会ったばかりの人と「真っ黒」と「AR」という全く繋がらなさそうな二つの単語をもとに起業しようとしていました。これがアイスブレーカーだったのです。人見知りする。物事についてじっくり考える。私が得意とすることをすっ飛ばして、チーム全体で必死に案を出していきます。最終的には、夜空を楽しむことができない都会に住んでいる方々のために、「都会の空を一旦真っ黒にして、そこから自分や他人が描いた絵をスマートフォンを利用して空に映し出すサービス」を会場に提案しました。なかなか良いものができたと私は思います。

 

 そしてここからが本番。個人個人で一分間、会場全体に自分の起業アイデアを発表します。素直に関心するものがあったり、首を捻るようなものがあったり、腹を抱えて笑うようなものがあったり、さまざまな案が飛び交っていました。投票を経て、九つのサービス案が残り、その中から自分が二日間をかけて全力で関わっていけそうなものを選択するのです。

 

 私は本当にチームメンバーに恵まれました。チームのリーダーは高校生と思えないほどの行動実績をすでに残していて、ある課題を解決しようとするパッションに燃え上がっていました。疲労を感じ始めた時やプロジェクトに対しての関心が薄れかけていた時に、彼女の熱意が私のやる気に再び火をつけました。同時に彼女は親切で近づきやすく、共に「ああでもない、こうでもない」と悩むことは楽しいプロセスでした。

 他のメンバーにも深く感謝しています。私たちとは違って大人で、過去に何度も Startup Weekend に参加したこともあり、高校生の私たちには足りないことを全て補って下さいました。最終プレゼンのスライドのあり方や現在の順調さ、コーチとの接し方など、経験ゼロの高校生が戸惑う前にアドバイスをして下さり、三日間は忙しくありながらもスムーズに進んで行きました。アイデアや情報に溺れて何が何だか分からなくなった時には、全員が一歩下がって内容をまとめる作業に取り組んだこともありました。そこには焦りはなく、ただチームが一丸となって絡まった状況を丁寧に解いていこうという思いが柔らかく部屋を満たしていました。事前に聞いた先輩方の話から心身共に荒れ狂うような Startup Weekend を予想していた私でしたが、そのような経験は避けられたようです。

 

 と言っても私は Startup Weekend を落ち着いて過ごしたかというと、そうではありません。チームでアイデアをポンポンと出し合っていた時は脳が全力ダッシュで私の「何かいい案を出したい」という思いに追いつこうとしていましたし、電話を通してのいくつものインタビューのお手伝いをしていた時はスマートフォンから染み出す声の向こうにある人々の顔を想像して、さまざまな思いに更けていました。特に、ご高齢の方が「もしもし?」と電話に出て下さり、現在困っていることを淡々と語っていた時は胸がずっしりとしたものでいっぱいになりました。やはり世の中には解決すべき課題があり、私たちの差し伸べた手で助けられる方が本当に存在するのだと、支えたくなるようなほっそりとした声の奥にあるおばあさんの姿を想像しながら痛感したのです。

 

 また、私は Startup Weekend 中に常にお菓子が用意されていたことによって、夜の10時を過ぎてもテンションが異常に高い人間になってしまいました。私は普段からお菓子をたくさん食べないのですが、頑張っている時に目の前にたくさん並んでいるとついつい摘んでしまい、シュガーハイになっていたのでしょう。早寝早起きの私にとって、夜10時過ぎに目がバッチリと開いていて、脳が猛スピードで回転し続けることは滅多にありません。喋るのが止まらなくなって、エネルギーを発散するために跳ね回っていると、同級生や先輩方に心配されてしまった程でした…みなさん、チョコの食べ過ぎには十分ご注意下さい。

 

 こうしてお菓子に余分なエネルギーをもらいながら Startup Weekend は充実し、チームとして最終ピッチで良い成績を収めることができました。本当に人のためになるようなビジネスを立ち上げられるのではないか、順調に進んでいるのではないか、と三日間を歩んでいる中で生まれた思いは妄想ではなかったのです。私たちの努力と団結力が報われたのは大変嬉しく、何よりも高校生のチームリーダーのパッションに人々は惹かれ、その可能性を見出したことに喜びを感じました。考えただけで体が熱くなるもの、涙が自然と出てくるもの、怒りが湧いてくるもの。必死になって向き合える何かを持っていて、それを全力で訴え掛ければ、きっと誰かは耳を傾けてくれます。私はこれをISAKでも日々実感しています。よくISAK生は「話し始めると止まらない」と言われますが、その通りです。ISAKには胸の中に何かが燃えている人が多くいて、お互いの熱い思いを交換し合っている場面が多々あります。パッションを発信すれば誰かが興味を持ってくれる、そして自然に自分も他人の思いに興味を持とうと思う。そんな環境がISAKにはあると感じています。入学する前に想像していた、生徒が常に自分のパッションを語っていて、それをみんなが必死で聞いている、という世界ではありません。いくらISAK生と言っても、常に本気になって行動しているわけではなく、とても浅い会話や行動をすることも多いです。しかし、自分が本気になれば、周りも本気になってくれる確率が高い。それがISAKです。

 

 私は残りわずかな秋休みを、「もう終わってしまう…」という暗い思いになんか支配されずに、「今」を楽しんでいきます。春や秋は一瞬で過ぎてしまい、過去や未来のことで悩む暇はありません。皆様も秋を全力で味わって下さい!

 

赤柴