後に分かったことだけれど

このとき、夫はわたしの母にも

真夜中にLINEを送っていた。
 
 
 
『たいせつな娘さんを幸せにできなくて、ごめんなさい』
 
 
 
母は
それを見て
胸騒ぎがして
眠れなかった、と。
 
 
だから
わたしがかけた電話にもすぐ出た。
夫の元へ行く、というわたしの話も
すぐに理解したのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
夫の実家へ車で向かう。
 
 
何度確認しても
LINEは既読にならず
GPSは切れたままだった。
 
 
時間は深夜3時。
 
 
迷ったけれど
夫の実家のインターフォンを鳴らした。
 
 
 
 
 
 
そこで皆、初めて気付く。
 
 
夫はGPSを切って
1人で実家からも消えていた。
 
 
電話をかけても繋がらない。
電源も切られていた。
 
 
 
『探してきます』
 
 
 
義家族にそう伝えて
真っ暗の街を車で回る
道路脇に停めては走り回る。
 
 
 
また、車で回る。
また、停めて走り回る。
 
 
 
場所を変えて何度も繰り返した。
 
 
どこを探せばいいのか、全然わからなかった。
でも、じっとはしていられなかった。
 
 
真っ暗の中
とにかく走った。
 
 
でも、どこにもいない。
 
 
 
連絡が取れない。
 
 
 
なにを考えているんだろう
どこにいるんだろう
 
 
最悪のことが頭をよぎる。
 
 
 
お願い、生きていて。
 
子ども達から
大好きなパパがいなくなるかもしれない
わたしが、あの子たちから、パパを奪ってしまうんだ
わたしのせいだ
ごめんなさい
ごめんなさい
 
 
 
頭の中、そればっかりだった。